私は彼ではない(トルコ/ギリシャ/フランス) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2014 –
- 2014.09.20
- Last Update: 2015.01.15
- Movie 福岡国際映画祭2014
- アジア映画
「私は彼ではない / I’m not him」
邦題 | 私は彼ではない |
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英題 | I’m not him |
製作国 | トルコ/ギリシャ/フランス |
製作年 | 2013年 |
監督 | タイフン・ピルセリムオウル |
上映時間 | 129分 |
人間の内に秘めた欲望を独特のリズムで描く
独身の中年男ニハット。ある日、職場の同僚アイシェから夕食に誘われる。部屋の写真を見て、彼女の服役中の夫が自分に瓜二つであることに気づく。二人は同棲を始めるが、アイシェは間もなく事故死。夫になりきって生活を続けるニハットだが、その後思わぬ事態が…。他人の顔になりすました人間のおそれとおののき、カフカ的な展開が魅力的である。
「私は彼ではない / I’m not him」
最初のシーン。
朝起きて鏡をのぞくニハット。
自分の顔をしげしげと見つめ、立ち去る。
そのあと、鏡のなかだけに顔があらわれる。
・・・私は彼ではない。
ニハットは職場でアイシェと出会う。
アイシェの夫は服役中だが、なんとニハットとそっくりなのだ。
こうして、ニハットは夫の「そっくり」として生きることにする。
ニハットは他人(ネジップ)になり変わることで、自分の欲望を全て実現させたように見えた。
他人になりかわりアイデンティティも揺らいでいく。
最後は、ニハットはネジップとして囚われて、最初に入れられた留置場に入れられる。
また見知らぬ男がいる。男は靴で鉄格子を叩くのだろうか。
ラストシーンで鉄格子を叩く音は、最初のそれよりも弱々しい。
ニハットが叩いているのだろうか。
見かけは I am him
行動は I’m not him だったのか・・・。
「私は彼ではない≒私は彼になった」
どこまでも曖昧で、答えのない意識の迷路に迷い込んでしまって、それを楽しむタイフン監督はちょっとズルいw。
それにしても、トルコの皆さんはよくチャイを飲みますね。
喫茶でチャイ、夕食前にチャイ、フェリーに揺られてチャイ、アイシェが死んでもチャイ。
帰りにチャイを飲んで帰ったのは言うまでもなし。
タイフン監督はとても素敵なおじさま!
女優のマルヤムさんはとてもクレバーで、美しかった~。
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