神の眼の下(もと)に(韓国/カンボジア) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2014 –
- 2014.09.21
- Last Update: 2015.01.15
- Movie 福岡国際映画祭2014
- アジア映画
「神の眼の下(もと)に / God’s Eye View」
邦題 | 神の眼の下(もと)に |
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英題 | God’s Eye View |
製作国 | 韓国/カンボジア |
製作年 | 2013年 |
監督 | イ・ジャンホ |
上映時間 | 90分 |
究極の状況の下で描かれる人間の苦悩と選択
東南アジアのある国で、海外宣教の奉仕活動をする9人の韓国人。ある時、イスラム過激派たちが支配する地域に足を踏み入れてしまった。ほどなく一行は、拉致される。彼らの運命をにぎるのは…。80年代、韓国ニューシネマの急先鋒だった韓国リアリズム映画の巨匠イ・ジャンホ監督が19年ぶりにメガホンをとった注目作。濃厚な演出力と繊細な心理描写で描く人間ドラマ。
「神の眼の下(もと)に / God’s Eye View」
架空のイスラム国家でキリスト教の布教活動をする韓国人が武装集団に拉致されるという設定で信仰とは何かをストレートに問うこの映画。
敬虔なクリスチャンであるイ・ジャンホ監督が、遠藤周作の「沈黙」をモチーフに撮影した力作。
自らの神への愛を守るためには、クリスチャンたちを苦しめなくてはならない。
クリスチャンたちを救うためには、自らの神への愛を捨てなくてはならない。
主人公ヨハンも、このジレンマに2度遭遇している。
神はなぜ沈黙を続けているのか。
ヨハンは、宣教師でありながら、一度背教した過去があった。
人間は弱い。どんな人間でも、苦しみを知り、許しを乞いながら生きている。
弱い者が強い者よりも苦しまなかったと誰が言えるのか。
どんなに弱く、愚かでも「許しを乞う」という権利だけは残されている。
自分の弱さを認められる人だけが強くなれる。
壮絶なラストシーン。
一緒にいた神父はヨハンと同じ「聖なる背教」をしてしまう。
ヨハンの最後の笑顔がすべてを物語っていた。
主演のオ・グァンノク氏の圧巻の演技に圧倒される。
そして絶望的な状況の中で、少年兵との交流が描かれているのだけど、そのときばかりはホッとする一コマとなっている。
韓国にキリスト教の基盤があるというのは知っていたけど、キリスト教に慣れ親しんでいない日本人からすると、理解できない部分も多くて、宗教って本当に難しいと思った。
特に、イスラムとキリストというのは相容れないとても敏感なテーマであるし、キリスト教=善、イスラムゲリラ=悪 というステレオタイプな構図には、多少違和感を覚えた。
宗教映画ではないので、人間の心の葛藤を描いた作品として観るとより楽しめる作品だと思う。
オ・グァンノク氏自身は宗教を信じていない人だそう。
宗教というのはデリケートな問題なので、そこに生きている人たちの観点から演じたとのこと。
主演俳優のオ・グァンノク氏。
とても気さくで、穏やかで、やさしい笑顔の普通のおじさま。
オ・グァンノク氏とキム・ヒョヌプロデューサーのサイン。
ハート書いちゃうグァンノク氏、素敵すぎて萌えた~。
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