山嶺の女王クルマンジャン(キルギス) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2015 –
- 2015.09.22
- Last Update: 2015.10.14
- Movie 福岡国際映画祭2015
- アジア映画
「山嶺の女王クルマンジャン / Kurmanjan Datka Queen of the Mountains」
邦題 | 山嶺の女王クルマンジャン |
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英題 | Kurmanjan Datka Queen of the Mountains |
製作国 | キルギス |
製作年 | 2014年 |
監督 | サディック・シェル・ニヤーズ |
上映時間 | 136分 |
美しく繰り広げられる一大歴史叙事詩
19世紀、中央アジアにおいてキルギス人の誇りを貫いた高地民族の女王クルマンジャン・ダトカの生涯を壮大なシルクロードの大自然を舞台に描いた歴史ドラマ。19世紀初頭、クルマンジャンは裕福な家族に生まれた。18才になったクルマンジャンは家族の都合で見知らぬ男性と結婚するはめになるが、なんと彼女は初夜に逃げ戻ってくるのだった。やがて、キルギス統一をめざす青年アルムベクに見初められ妻となるが…。
「山嶺の女王クルマンジャン / Kurmanjan Datka Queen of the Mountains」
キルギスの二大英雄の一人、クルマンジャン・ダトカの一生を理解できる史実に基づいた映画。
キルギスにこんな歴史があったのか。
キルギスの部族間の争い、ロシア帝国による併合、クルマンジャンの波乱万丈の人生がキルギスの歴史そのもの。
夫のアルムベクは志なかばで殺されてしまうのだが、公正で威厳あるクルマンジャンは、リーダーシップを見初められ、ダトカの後継者に任命される。
彼女の尽力によりキルギスの40族は団結し、一度は敵を追い払ったものの、大砲まで持っているロシア兵に、このまま闘い続けることは無益であと悟るクルマンジャン。
ロシアの宗主権を認める書類に調印する。
その後、部族民とロシア兵との間で突発的な衝突などはあるものの、ある程度の落ち着きを取り戻した矢先、息子が銃器の密輸で逮捕されたという知らせが。
息子は集まった味方たちとロシア兵に攻撃を仕掛けることを計画していたのだが、そこへクルマンジャンが馬に乗ってやってくる。
静かに首を横に振るクルマンジャン。
ここで反乱してはキルギスの部族が窮地に立たされてしまう、という母の想いを理解した息子は自ら死刑になるのだった。
クルマンジャンは、ロシア帝国併合後も女帝として丁重に扱われ、キルギス独立を見届けることは出来なかったが、96歳まで生きた。
キルギスで見かけるモニュメントは、大体マナス王かクルマンジャン・ダトカのどちらかだそうで、クルマンジャンは紙幣にもなっている。
風景も衣装も美しく、俳優さんすべてが魅力的。
中央アジアのダイナミックで情緒ある景色。
2時間超の大作だけど見飽きない。
クルマンジャンが無私の心で守った小国の尊厳、勇気が、大国に翻弄された他の小国(フィンランド)にも受け継がれたという最後のシーンは秀逸だった。
左からアソシエート・プロデューサー/出演:イディリソワ・チョルポンさん、主演女優のエリナ・アバイ・キズィさん。
お二人とも眩しいくらいキレイ。
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