裁き(インド) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2015 –
- 2015.10.16
- Movie 福岡国際映画祭2015
- アジア映画
「裁き / Court」
邦題 | 裁き |
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英題 | Court |
製作国 | インド |
製作年 | 2014年 |
監督 | チャイタニヤ・タームハネー |
上映時間 | 116分 |
社会の縮図が見え隠れする異色の法廷劇
下水労働者の死体がムンバイのマンホールの中から発見された。ほどなく年老いた民謡歌手が逮捕される。彼の扇動的な歌が、労働者を自殺へと駆り立てたのかもしれないと告発されたのだった。裁判は下級裁判所で展開、そこはムンバイの普通の人々の希望と夢が演じられる舞台でもあった。それらの運命を形作るのは弁護士と検察官そして裁判官。映画は裁判所という主舞台を離れ、彼らの個人的生活を静かに観察していく。
「裁き / Court」
裁判映画は大抵、弁護士が熱弁をふるって無実の被告人を助ける、法廷での白熱したやり取りが見せ場。
だが、この「裁き」は全く違う。
ボリウッド的な要素も一切ない。
この映画の中で、裁判自体は大きなウェイトを占めていない。
弁護士も検事も裁判官も、条文に従って淡々と役割を果たすだけの冷め切った裁判劇。
ある労働者の死を裁く法廷を中心に、被告人、弁護士、検事、裁判官のプライベートを描き、その中でインドが抱える諸問題、日常を映し出している。
観客はこの4人を通して、人間は見た範囲、知っている範囲だけの姿ではない、自分のフレームやレンズ通りの人間ではないのだと、気づかされる。
ラスト、裁判官の休日は秀逸。
28歳のチャイタニヤ・タームハネー監督、さすが鋭い。
左から、プロデューサー・俳優(弁護士役)のヴィヴェーク・ゴームベールさん、チャイタニヤ・タームハネー監督。
ヴィヴェーク・ゴームベールさん、映画の中では髭を生やし眼鏡をかけて、いかにも弁護士風だったのが、急にラフだから気づかなかった(笑)。
「裁き」のポスターについて興味深い話も聞けた。
ポスターは全部で4種類あり、全部を見せて選んでもらったらしい。
福岡国際映画祭に持ってきたポスターはこれ。
被告人のおじいさんのイラストは無し。
次に、インドで使用されたポスター。
こちらは被告人のおじいさんを全面に出して、法廷劇の映画、もしくは何かの布教?とも見えそうなポスター。
映画の内容からすると、これはちょっと惑わされる。
3つ目は、イラストが目を引くポスター。
土管に被告人、後ろには法廷。
分かりやすいけど、ポップすぎる印象。
最後は、監督とヴィヴェークさんのポーランド人イラストレーターの友達に作ってもらったというポスター。
3人(弁護士、検察、裁判官)の顔のラインが交錯している。
白、黒、赤の3色しか使っておらず、シンプルながらも目を引くデザイン。
お二人はこのポスターが気に入っているとのこと。
個人的には、お二人も気に入っているという最後のポスターが好きだけど、この映画祭の来場者の年齢層を考えるとやはり、分かりやすく、それでいて今どきのデザインである1番目のポスターを福岡国際映画祭が選んだのもうなづける。
このポスターに関して、私見だが、人物をわざとポリゴンスタイルにして、人間の多面的な部分を表現したのでは?と思っている。
それにしても、チャイタニヤ・タームハネー監督もプロデューサー・俳優(弁護士役)のヴィヴェーク・ゴームベールさんも、めっちゃノリが良くてラブリー。
とてもあの映画の中の人たちとは思えないほど(笑)。
インドの人たちやっぱり陽気w
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