イロイロ ぬくもりの記憶(シンガポール) – 福岡アジアフィルムフェスティバル2015 –

イロイロ ぬくもりの記憶(シンガポール) – 福岡アジアフィルムフェスティバル2015 –

「イロイロ ぬくもりの記憶 / Ilo Ilo」

★★★★☆

邦題 イロイロ ぬくもりの記憶
原題 Ilo Ilo
製作国 シンガポール
製作年 2013年
監督 アンソニー・チェン
上映時間 99分

<あらすじ>

人生にはあなたを救ってくれる出会いがある

1997年シンガポール、共に働きに出ている両親と暮らす一人っ子のジャールー(コー・ジア・ルー)は問題児で、母親の悩みの種だった。そんな折、住み込みで雇われたフィリピン人メイドのテレサに反発するジャールーだったが、真剣に自分と向き合おうとする彼女と次第に心を通わせていく。一方、父親はアジア通貨危機の影響でリストラされ、母親はテレサに対して嫉妬のような感情を持ち始め……。

「イロイロ ぬくもりの記憶 / Ilo Ilo」

97年のシンガポール。
淡い色調で淡々と描かれる、シンガポールの中華系一家と出稼ぎのフィリピン人家政婦の交流。

わがまま放題の子供、このクソガキめ!と観ていたんだけど、
フィリピン人の出稼ぎメイドとの交流で、この家族の心情が浮き彫りになってくる。

居心地の悪い家、
思いやりのない家族、
その中で唯一「安らぎの場」となったのが、フィリピン人家政婦のテレサとなっていく。

父親はあれこれしくじり、妊娠し心が弱った母親は拠り所を求め自己啓発にのめりこんでいく。
結局、お金に余裕がなくなりテレサを解雇することに。

憎らしいクソガキに思えた少年ジャールーが、
初めて誰かを想い、起こす行動と、最後に見せる反抗は、
10才のクソガキが兄になるまでの素晴らしい成長物語。

淡々と。
じんわりと。
心に沁みていくそんな良作でした。