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シッダルタ(インド/カナダ) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2014 –

「シッダルタ / SIDDHARTH」

★★★★★

邦題 シッダルタ
英題 siddharth
製作国 インド/カナダ
製作年 2013年
監督 リチー・メーヘター
上映時間 96分

<あらすじ>

これは今日のデリーで起きている事である

デリーでジッパー修理をして細々と収入を得ているマヘンダル。そこで、苦しい家計をなんとかしようと、12歳の息子シッダルタを遠方の工場で働きに出す。しかし数週間たっても息子は家に帰ってこない。お金もない、財産もない、頼れるひともいない。父親は自ら息子捜しの旅に出る。父親のその愚直なまでの姿に、わたしたちは祈るような気持ちでスクリーンを見つめてしまう。

「シッダルタ / SIDDHARTH」

これは「実話」である。
リチー監督がデリーに里帰りした際に、タクシーに乗ったリチー監督は運転手に「ドングリ」という場所を知っているかと聞かれた。タクシー運転手である彼は、自分の息子の身に起こったことを話し始めた。
1年間ずっと息子を探していた運転手。息子は「ドングリ」という場所にいるという噂がある。そこを知っているかと。リチー監督は、持っていたiPhoneで「ドングリ」を検索、「ドングリ」はムンバイにあるとすぐに分かった。運転手は他にも何か分かったら教えてくれと、電話番号をリチー監督に渡す。
後日リチー監督が電話すると、その電話番号はまったく別の人のものであった・・・。

お金もない、財産もない、頼れる人もいない。
警察への届け出も「行方不明者を探すには時間が経ちすぎている」と言われ、父親は自ら息子捜しの旅に出ようとするが、ムンバイまで行くのに45日働いてお金を貯めなければいけない。
父親が息子の行方を尋ね歩くその姿には、涙せずにはいられなかった。

探し疲れ、最後には「俺は息子の顔も思い出せない・・・」とつぶやくマヘンダル。
自分の父親に電話するマヘンダル「俺は出来ることは全てやったんだ・・・」と。
父親に「これも神のご意志だ。お前は帰って嫁と娘の世話をしっかりするんだ」と言われ家に戻るマヘンダル。次の日、マヘンダルは家族を守るために、力を振り絞って働きに出かけるのだ。

インドで頻繁に起こっている子供の人身売買。
現在はパキスタンルートなどもあるそう。

インドの貧困層の人たちの現実を丁寧に描いたリチー監督。
政治的、宗教的問題は抜きに、人が尊厳をもって生きていくとはどういうことか、心に訴える作品だった。
家族もいる、落ち込んで鬱になるという選択肢はなく、働かざるをえない状況で生きている。
どんなに劣悪な状況だろうと前向きに生きる人たち。

今までずっと一緒に居た人が突然居なくなる悲しみ、何が「救い」になるかは分からないけど、それでも生きている私たちは、生きていかなければいけない。前を向いて。


Q&A時のリチー監督。
小さなことを発見する天才、どんなことにでも興味を持つって素晴らしい。
真面目だけどお茶目な一面もあってファンになっちゃった!

Q&A記事

ロマンス狂想曲(台湾) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2014 –

「ロマンス狂想曲 / Apolitical Romance」

★★★★☆

邦題 ロマンス狂想曲
英題 Apolitical Romance
製作国 台湾
製作年 2013年
監督 シエ・チュンイー
上映時間 90分

<あらすじ>

甘くてピリっと刺激的な異文化交流ラブコメディ

台湾と中国大陸のむずかしい関係を、ふたりの若い男女に託して爽やかに描く。アーチェンは役所で働くやさ男。ある日、北京から祖母の初恋の人を探しに来たチン・ランと出会う。美人だが、わがままで押しが強い。人捜しの旅で、ふたりは感じ方考え方の違いに衝突を繰り返す。近づけそうで近づけないもどかしさ。ぎくしゃくしながら、このドタバタ恋愛喜劇はノンストップで突っ走る。

「ロマンス狂想曲 / Apolitical Romance」

タイトルの元ネタは、リッチー・レンが歌ってヒットした「對面的女孩看過來」ということで、原題は「對面的女孩殺過來」。
直訳すると「向かいの女の子が殺しにやって来た」という物騒なタイトル!
監督いわく「普通にやって来るのではなく、すごい勢いで来た」という意味なんだそう。

台北の28歳の公務員アーチェン。
上司に提出する企画書をまとめるのには「中国大陸の人間との交流が不可欠」と言われて、台北の食堂で知り合った中国人の旅行者チン・ランを自宅に連れ帰ることに。

祖母のかつての恋人を捜しに台湾にやってきたチン・ラン。
提出する企画書の修正に協力してもらう代わりに、人探しを手伝うことになったアーチェン。
政治的背景も違えば性格も違う2人は、感じ方、考え方の違いに衝突を繰り返しながらも、互いに信頼する関係を築いていく。

近づけそうで近づけないもどかしさ。
2人を通して台湾と中国大陸の難しい関係を爽やかに描いていて、アップテンポの展開が心地よい作品だ。
そして家族との関わり合いに関してもほろりとさせてくれる。

政治的に難しい関係にある国はたくさんあるけど、人と人とは分かり合える、つながることが出来る。
若い世代にはその差を「埋めていく力がある」と感じさせてくれる。

それにしても、アーチェン。見事なガンプラヲタ!それもとっても爽やかな。
チン・ランのお蔭で、アーチェンは自分の夢に向かって進んでいくのだが、チン・ランのガンプラへの扱いがひどすぎると話題になっていた(笑)。
その理由が、彼女が彫刻を勉強している学生だということが分かったから。

まぁ、確かに。
芸術が分かる人は、そういうものに対しても敬意をもって扱うのではないかな~と。
監督はガンダムが大好きだと言っていたから、逆に意図してそういう風にしたのかもしれないね!


上映前挨拶では、「福岡が大好きになりました。」とシエ・チュンイー監督。
チャン・シューハオさんは「福岡に来てからは、毎日ラーメンを食べています。」と言って笑いを誘っていた。
シエ・チュンイー監督もチャン・シューハオさんも爽やかなイケメンで、このお二人からロマンスお裾分けしてもらえて最高の1時間半。

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神の眼の下(もと)に(韓国/カンボジア) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2014 –

「神の眼の下(もと)に / God’s Eye View」

★★★☆☆

邦題 神の眼の下(もと)に
英題 God’s Eye View
製作国 韓国/カンボジア
製作年 2013年
監督 イ・ジャンホ
上映時間 90分

<あらすじ>

究極の状況の下で描かれる人間の苦悩と選択

東南アジアのある国で、海外宣教の奉仕活動をする9人の韓国人。ある時、イスラム過激派たちが支配する地域に足を踏み入れてしまった。ほどなく一行は、拉致される。彼らの運命をにぎるのは…。80年代、韓国ニューシネマの急先鋒だった韓国リアリズム映画の巨匠イ・ジャンホ監督が19年ぶりにメガホンをとった注目作。濃厚な演出力と繊細な心理描写で描く人間ドラマ。

「神の眼の下(もと)に / God’s Eye View」

架空のイスラム国家でキリスト教の布教活動をする韓国人が武装集団に拉致されるという設定で信仰とは何かをストレートに問うこの映画。
敬虔なクリスチャンであるイ・ジャンホ監督が、遠藤周作の「沈黙」をモチーフに撮影した力作。

自らの神への愛を守るためには、クリスチャンたちを苦しめなくてはならない。
クリスチャンたちを救うためには、自らの神への愛を捨てなくてはならない。

主人公ヨハンも、このジレンマに2度遭遇している。
神はなぜ沈黙を続けているのか。

ヨハンは、宣教師でありながら、一度背教した過去があった。
人間は弱い。どんな人間でも、苦しみを知り、許しを乞いながら生きている。
弱い者が強い者よりも苦しまなかったと誰が言えるのか。

どんなに弱く、愚かでも「許しを乞う」という権利だけは残されている。
自分の弱さを認められる人だけが強くなれる。

壮絶なラストシーン。
一緒にいた神父はヨハンと同じ「聖なる背教」をしてしまう。
ヨハンの最後の笑顔がすべてを物語っていた。

主演のオ・グァンノク氏の圧巻の演技に圧倒される。
そして絶望的な状況の中で、少年兵との交流が描かれているのだけど、そのときばかりはホッとする一コマとなっている。

韓国にキリスト教の基盤があるというのは知っていたけど、キリスト教に慣れ親しんでいない日本人からすると、理解できない部分も多くて、宗教って本当に難しいと思った。
特に、イスラムとキリストというのは相容れないとても敏感なテーマであるし、キリスト教=善、イスラムゲリラ=悪 というステレオタイプな構図には、多少違和感を覚えた。
宗教映画ではないので、人間の心の葛藤を描いた作品として観るとより楽しめる作品だと思う。

オ・グァンノク氏自身は宗教を信じていない人だそう。
宗教というのはデリケートな問題なので、そこに生きている人たちの観点から演じたとのこと。


主演俳優のオ・グァンノク氏。
とても気さくで、穏やかで、やさしい笑顔の普通のおじさま。


オ・グァンノク氏とキム・ヒョヌプロデューサーのサイン。
ハート書いちゃうグァンノク氏、素敵すぎて萌えた~。

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私は彼ではない(トルコ/ギリシャ/フランス) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2014 –

「私は彼ではない / I’m not him」

★★★★☆

邦題 私は彼ではない
英題 I’m not him
製作国 トルコ/ギリシャ/フランス
製作年 2013年
監督 タイフン・ピルセリムオウル
上映時間 129分

<あらすじ>

人間の内に秘めた欲望を独特のリズムで描く

独身の中年男ニハット。ある日、職場の同僚アイシェから夕食に誘われる。部屋の写真を見て、彼女の服役中の夫が自分に瓜二つであることに気づく。二人は同棲を始めるが、アイシェは間もなく事故死。夫になりきって生活を続けるニハットだが、その後思わぬ事態が…。他人の顔になりすました人間のおそれとおののき、カフカ的な展開が魅力的である。

「私は彼ではない / I’m not him」

最初のシーン。
朝起きて鏡をのぞくニハット。
自分の顔をしげしげと見つめ、立ち去る。
そのあと、鏡のなかだけに顔があらわれる。
・・・私は彼ではない。

ニハットは職場でアイシェと出会う。
アイシェの夫は服役中だが、なんとニハットとそっくりなのだ。
こうして、ニハットは夫の「そっくり」として生きることにする。

ニハットは他人(ネジップ)になり変わることで、自分の欲望を全て実現させたように見えた。
他人になりかわりアイデンティティも揺らいでいく。

最後は、ニハットはネジップとして囚われて、最初に入れられた留置場に入れられる。
また見知らぬ男がいる。男は靴で鉄格子を叩くのだろうか。
ラストシーンで鉄格子を叩く音は、最初のそれよりも弱々しい。
ニハットが叩いているのだろうか。

見かけは I am him
行動は I’m not him だったのか・・・。

「私は彼ではない≒私は彼になった」
どこまでも曖昧で、答えのない意識の迷路に迷い込んでしまって、それを楽しむタイフン監督はちょっとズルいw。

それにしても、トルコの皆さんはよくチャイを飲みますね。
喫茶でチャイ、夕食前にチャイ、フェリーに揺られてチャイ、アイシェが死んでもチャイ。
帰りにチャイを飲んで帰ったのは言うまでもなし。

タイフン監督はとても素敵なおじさま!
女優のマルヤムさんはとてもクレバーで、美しかった~。

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予兆の森で(イラン) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2014 –

「予兆の森で / Fish & Cat」

★★★★★

邦題 予兆の森で
英題 Fish & Cat
製作国 イラン
製作年 2013年
監督 シャーラム・モクリ
上映時間 141分

<あらすじ>

驚異の1カット撮影!終始漂う不安感は病み付きに

まがまがしい予兆をはらみながら、カメラは移動し続ける。森に囲まれた湖の畔、凧揚げイベントに参加するために集まった学生たち。近くのレストランの料理人たちは料理のための”肉”を探していた…。本作は実話に基づくが、決定的な何かが起こるという不安をはらんだまま、何も起こらない物語の中をさまよい続ける。134分を1カットで撮影した大胆不敵な傑作。

「予兆の森で / Fish & Cat」

さすが!イラン映画にハズレなし!
まず、全編ワンカット撮影という、なんとも実験的な作品で、これは絶対に観たいと思っていた作品。

説明は難しくて、まぁとにかく観てよ、っていう感じだけど、
監督の言うように、まさにエッシャーのだまし絵を見るような感覚の映画。
不安のリレーかと思っていたら、デジャヴした瞬間、少しずつ混乱。

ループして、ねじれて、交錯していて。
モクリ監督の作った不気味な森を彷徨ってる気分。
音楽の付け方も秀逸だし、映画全体の色彩も素晴らしい。

全編ワンカットで撮った理由として、観客に時間の流れを感じて欲しかったと仰っていた。
カットがある映画は虚構で現実じゃないから、中国の模倣品みたいなるから、と(ここで笑い起きるw)。
また、ワンカットだったので検閲もらくらくパスだったらしい。

タイトルの「Fish & Cat」に関しては、
猫がいつも魚を狙っているように、若い世代を狙う古い世代(新しく変化することを好まないというイラン独特の世界観)、またイラン自体が常にどこかに狙われている状態で、何かが起こるかもしれないという不安を抱えつつ生きるイランの人たちの現実も描きたかったとのこと。

シャーラム・モクリ監督、1978年生まれということで、勝手に親近感!クレバーで、クリエイティブで、新しいことに挑戦する勇気があって。
それに、いつもニコニコしていて、話してみるとご夫婦そろって、すっごく素敵な方だった。
イラン人の半分は優しさで出来ているって本当だな。

個人的には「予兆の森で / Fish & Cat」に観客賞をあげたいほどの作品だった。
ポスターは怖いけど・・・もう一度、観たい。

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タイムライン(タイ) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2014 –

「タイムライン / Timeline」

★★★★☆

邦題 タイムライン
英題 Timeline
製作国 タイ
製作年 2014年
監督 ノンスィー・ニミブット
上映時間 135分

<あらすじ>

時代を超えて想いがつなぐ甘く切ない物語

シングルマザーのマットは、一人息子のテーンが農業学校へ進み、農園を継いでくれることを望んでいた。しかし、テーンは新しい世界を望んでいた。彼は母を説得し、バンコクへ。大学の新入生歓迎会で、 チャーミングなジューンと出会い、彼の日常は変わっていった。タイ映画の王道を行く、ハートフルな感動作。唐津くんちなど、佐賀県各地で撮影されたシーンにも注目。

「タイムライン / Timeline」

>>> 以下、多少ネタバレあり

テーン役のチラーユ・タンシースックさんからのビデオメッセージ。
上映後のQAでは、ジューン役のャリンポーン・ジュンキアットさんが、
映画と同じく可愛らしい仕草、キュートな笑顔で会場を沸かせていた。
佐賀県のロケでは、特に祐徳稲荷神社が素晴らしかったとのこと。

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慶州(韓国) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2014 –

「慶州 / Gyeongju」

★★★★☆

邦題 慶州
英題 Gyeongju
製作国 韓国
製作年 2014年
監督 チャン・リュル
上映時間 145分

<あらすじ>

古都・慶州を舞台にした不思議な1泊2日の旅

中国の大学で教鞭をとるチェ・ヒョンは友人の葬儀のため、久しぶりに韓国に戻った。葬儀の後、友人との昔話の中で、ふと共に慶州を旅した時に見た茶屋の壁にあった春画のことを思い出す。チェ・ヒョンはその記憶を確かめるため、衝動的に慶州へと向かった。チャン・リュル監督が慶州を舞台に描く、ほのかなユーモアに彩られた、ゆるやかでファンタジックなロマンスの旅。

「慶州 / Gyeongju」

7年前に見た春画を探すために春画があった慶州の喫茶アリソルに行くチェ・ヒョン。
だが、春画はすでになくなっていた。
突然春画の行方を尋ねるチェ・ヒョンの怪しい行動に、変態だと誤解する喫茶店主のコン・ユニ。

実は、この二人のドキドキする出会いを作った春画は、実際にチャン・リュル監督が1995年に初めて慶州を訪れたとき、喫茶アリソルの壁の片隅に描かれていたんだそう。
しかし、7年後チャン・リュル監督が再び慶州を訪れたとき、その春画はなくなっていて、これが「慶州」のモチーフになったとのこと。

古都慶州の美しい風景を、チェ・ヒョンと一緒に旅をしているような気分になる。
あれこれ考えて観るというよりは、映画のゆっくりした時間と描写に身を任せるような映画だった。

感心したのは、監督が日本人のおばちゃんをよく観察しているなぁということ(笑)。
パク・へイルさんを観て「あの人イケメンだわ~、ひょっとしたら俳優さんじゃない?映画俳優だったかしら?ドラマ?何かのドラマに出ていたような・・・」と言って、ユニが「俳優です」なんて嘘をつくもんだから、帰りに「写真を一緒に撮ってもらえませんか」と写真を撮るシーン。笑えたー。

店を出てわざわざ戻ってきて「韓国の方に日本がしたことを謝りたい」と言うところ。
日韓の少し敏感な部分をさらっと盛り込んで「納豆」で笑いに変える監督に脱帽。

ちょっと下心があって掴みどころのないキャラも、自転車のシーンも、カラオケでの変なダンスも、すべてがパク・ヘイルさんの独特の魅力にぴったりだった。
そして、登場人物たちは、それぞれの想いを抱えて、それでも前を向いて歩いていく。
帰ることが出来る場所があるっていうのは、いいものだと信じて。

二度目を観た夫によると、この映画の登場人物は色んな意味で死んでいるのではないかとのこと。
なんだか無気力なチェ・ヒョン(パク・ヘイル)や、写真に写りたがらないコン・ユニ(シン・ミナ)。
先輩の奥さんも「チェ教授なら分かるでしょう。夫は自ら死ぬことを選んだんです。精神的には死んでいたのです。」とか言うシーンがあって、それが伏線になっているのでは・・・と深読み?
ううむ。確かに、白と黒の対比も何だかだし。
これは再度確認する必要がありますな。

チャン・リュル監督、パク・ヘイルさん、プロデューサー キム・ドンヒョンさんのサイン。
パク・ヘイルさんは、爽やかで、すらっとしていて、素敵でした。特に声が素敵だった。

Q&A記事
ディレクター懇談
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絵の中の池(イラン) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2014 –

「絵の中の池 / The Painting Pool」

★★★★★

邦題 絵の中の池
英題 The Painting Pool
製作国 イラン
製作年 2013年
監督 マズィヤール・ミーリー
上映時間 96分

<あらすじ>

小さな家族の大きな愛にあふれた物語

軽度の知的障がいをかかえる両親マルヤムとレザに大切に育てられたソヘイル。
裕福ではないけれど笑顔の絶えない温かな家庭で幸せな毎日を送っていた。しかしソヘイルは小学校の高学年になり、自分の家庭が他とは違うことを知りはずかしさを感じるようになる。
息子の変化についていけないマルヤムはおろおろするばかり。
両親の深い愛情をソヘイルはどう受け止めるのか。

「絵の中の池 / The Painting Pool」

7/29(火)の記者発表会で、一足先にこの映画を見てきたので、少し感想を。
映画祭期間中にもう一度見て追記したいと思います。

>>> 以下、多少ネタバレあり <<<
———-
愛は障害(障がい)を乗り越えて、それを克服することが出来るのか。
すべては挑戦。

軽度の知的障害をかかえながら、息子ソヘイルを育てるマルヤムとレザ。
それは二人にとって挑戦だ。
通りを横断するのも、ピザを作るのも、息子の宿題を手伝うのも。

しかし、ソヘイルは、小学校の高学年になり、自分の家庭が他とは違うことを恥ずかしいと感じるようになる。
ほかの家の子になれたらどんなにいいだろう。
教頭先生の家に転がり込むソヘイル。
憧れの家庭だったが、ここにも様々な悩みや苦しみがある事が分かってくる。

障害の有無は関係なく、家族(夫婦)にとって大切なものに気付いたとき、
マルヤムは屋上にも登れるようになり、進まないバイクは走り出し、笑い声に包まれるラストに涙。

特にお母さん。とてもチャーミング。
家族を思う純粋な気持ちがすごく伝わってくる。
難しい題材なのに、暗い気持ちにはならない、考えさせられるけど、ライトに観られる映画だ。

ソヘイルとはまったく状況が違うけど、
私は5姉妹の長女で、小学校高学年、中学校の頃は「5人姉妹」というのがすごく恥ずかしかったので、
この多感な年頃の気持ち・・・なんとなく分かる。
大人になった今では、5人姉妹も、大家族も自慢だけど。

ソヘイルは10歳で自分の家族にしかない良さ、唯一無二のものに気付いたんだから、素直にすごい。

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オープニング – アジアフォーカス福岡国際映画祭2014 –

今年で24回目のアジアフォーカス・福岡国際映画祭2014、いよいよ開幕!

9月12日(金)、オープニングセレモニーが開催されました。
この映画祭で上映される映画の監督や俳優など、ゲストが続々と福岡に。

わくわく、ドキドキ感と共に
ボランティアスタッフとしても気合いが入ります。

スタッフは、超絶カッコいいTシャツを着ています。
福岡らしく「ラーメン」フィルムTシャツ!
ご不明な点などあれば、スタッフまで~。

19:00から始まったオープニングセレモニー。
拍手の中、レッドカーペットを歩く映画人の皆様。

素敵すぎて目頭が熱くなりました…
感情失禁しがちな今日この頃です。



福岡市長
「素晴らしい映画を上映できるのは市民にとって大きな喜び」

おすぎさん
「アジア映画は身近に感じることが出来ながら、違いを楽しむことが出来る」

梁木ディレクター
「映画を”観る”ことは、人間を”見る”こと。見ることを大切にして。映画も楽しんで。」

と、挨拶がありました。
さぁ始まります、アジア映画の不思議な魅力に取り憑かれる10日間。
今年は何作観られるかな~。

上映作品紹介はこちら!

AKG K619

旅先で必ずすること。
ジャケ買い。

内容の良し悪し、好き嫌いは関係ねぇっ!
とにかくジャケットが気に入ったら買う、買う、買いまくる!
AKGのヘッドフォンも手に入れた。

AKG K619 BLACK。
密閉型のヘッドホンで、音に包まれる感じ。
折りたたみで、片出しコード、ポーチ付きだから、持ち運びも便利。

台湾旅行で買ったCDについては、次回詳しく書きたいと思ってます。

みかん

先月、叔父が亡くなった。
毒舌で少し変わったところのある叔父だった。

ハウスみかん農家をしていた叔父。
今は最盛期だ。
アルバイトの人たちがみかんの仕分け作業をしている、

叔父が居たであろう場所の横で、生きるための作業をしている。
まさに「生」と「死」。

生きているほうが辛いことはあるし、死にたくなることもある。
何に行き詰ったのかは本人にしか分からない。

今までずっと一緒に居た人が突然居なくなる悲しみは計り知れず、
私には叔母を慰める言葉は見つからなかった。

不思議なことに、帰ってきた叔父の顔は、安らかなやさしい顔だった。
全ての苦しみ、悩みから解き放たれたのか、
叔父の顔を見ていると「お疲れ様でした、ありがとう」と思えた。

私には、叔父の決定が正しかったのかは分からないけど、
安らかな寝顔が、叔母の「救い」になれば、と思うしかなかった。

残された者は、悲しくて悲しくて、自分を責めてしまうけど、
それでも生きていかなければいけない。前を向いて。

今日も叔父が大切に育てたみかんを食べる。
叔父が作った最後のみかんは、甘くて少しだけ酸っぱい。

アジアフォーカス・福岡国際映画祭2014

今年で24回を迎えるアジアフォーカス・福岡国際映画祭
毎年楽しみにしておられる方も多いと思いますが、私もその中の一人。
しかも今年はボランティアにも参加します!!!

メイン会場は「キャナルシティ博多」の「ユナイテッド・シネマキャナルシティ13」。
また「福岡市総合図書館映像ホール・シネラ」も会場になっています。

会期は2014年9月12日(金)がオープニング、
9月21日(日)までの10日間の開催です。

公式招待作品は15作品。
その他にも、日本映画特集台湾映画特集もあります。
詳細は公式サイトよりご確認を!

福岡国際映画祭は、アジアの「今」を感じることが出来るステキな映画祭です。
監督・俳優などのゲストとのディスカッションもあって、映画がとても身近なものに感じられます。
福岡にこんな映画祭があって本当に嬉しい!

チケットは、前売り券がお得!-> チケット情報

  前売券 当日券
1作品券 1,100円 1,300円
1作品学割券
(中高大生・留学生)
500円
5作品券 4,400円 5,500円
フリーパス 11,000円 13,000円

ちなみに、特別招待イベントもあるので、応募してみてください。
全部おすすめですが…

D:福岡観客賞授賞式 &「狂舞派」特別上映会。
去年上映された作品。私ももう一度見たい作品です。
レビューはこちら -> cool Hong-Kong !!! 狂舞派

C:台湾映画大特集 「KANO~1931 海の向こうの甲子園~」特別試写会
永瀬正敏主演の台湾映画。
こちらも見たいです!

福岡国際映画祭の作品、今年は全部制覇できるといいな~。
ボランティアもしっかりやりますが、映画もしっかり見てレビューできるといいなと思ってます。