みかん
- 2014.08.19
- Last Update: 2014.08.20
- Blog
先月、叔父が亡くなった。
毒舌で少し変わったところのある叔父だった。
ハウスみかん農家をしていた叔父。
今は最盛期だ。
アルバイトの人たちがみかんの仕分け作業をしている、
叔父が居たであろう場所の横で、生きるための作業をしている。
まさに「生」と「死」。
生きているほうが辛いことはあるし、死にたくなることもある。
何に行き詰ったのかは本人にしか分からない。
今までずっと一緒に居た人が突然居なくなる悲しみは計り知れず、
私には叔母を慰める言葉は見つからなかった。
不思議なことに、帰ってきた叔父の顔は、安らかなやさしい顔だった。
全ての苦しみ、悩みから解き放たれたのか、
叔父の顔を見ていると「お疲れ様でした、ありがとう」と思えた。
私には、叔父の決定が正しかったのかは分からないけど、
安らかな寝顔が、叔母の「救い」になれば、と思うしかなかった。
残された者は、悲しくて悲しくて、自分を責めてしまうけど、
それでも生きていかなければいけない。前を向いて。
今日も叔父が大切に育てたみかんを食べる。
叔父が作った最後のみかんは、甘くて少しだけ酸っぱい。
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