ルーヴルNo.9@福岡アジア美術館
福岡アジア美術館で開催されている、ルーヴル美術館特別展 「ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~」に行ってきました。2016年7月から巡回しているこの特別展、総勢16人の漫画家たちがそれぞれの独特な世界観で描き出した16通りのルーヴル美術館を堪能できるということで、ワタクシ首を長~くして待っておりましたヾ(o´∀`)ノ
会期は、2017年4月15日(土)− 5月28日(日)。
ルーヴル美術館BDプロジェクトとは
フランスには「バンド・デシネ(BD)」とよばれる漫画文化があります。
BD(ベーデー)は、絵画のように緻密で技巧に富んだ作品が多く、9番目の芸術(※)として位置付けられているそうです。
ルーヴル美術館BDプロジェクトは、漫画家たちにルーヴル美術館をテーマに自由に作品を描いてもらい、「漫画」を通してより多くの人々にルーヴル美術館の魅力を伝えるという企画で、フランス内外の著名な漫画家や日本の漫画家が多数参加しています。
2004年から始まったこのプロジェクトは現在も進行中で、すでに12作品が出版されています。
この「ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~」は、ルーヴル美術館を題材にしたバンド・デシネを作るプロジェクトの展覧会なんです。
※第1から8までは順に「建築」「彫刻」「絵画」「音楽」「文学(詩)」「演劇」「映画」「メディア芸術」とされる(諸説あり)。
神谷浩史(声優)による音声ガイド
チケットを買って入ったら、まずは音声ガイド(600円)を借りましょう!
お値段以上の満足度と興奮を味わえます。
なぜなら、声優の殿堂入りを果たした神谷浩史さんが声帯を駆使しまくってガイドをしてくれるからです(神谷浩史16変化って書いてあるw)!
ほんとマストアイテム。
日本語翻訳されていない作品もあるので、説明があると本当に分かりやすいんですよ。
もちろんパネルに日本語説明は書いてあるのですが、読むのに時間がかかりますし、神谷さんの声がすごく聞きやすいです。
神谷さんが少~しテンション上がってガイドしてたりするので、ニヤニヤしながら進むのも良いかと!小芝居もあるので、面白いですよ。
声優さんってすごいなぁ!
「ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~」の見どころ
展示は大きく3つに分かれています。
原画の美しさ、迫力に魅了されること間違いナシです。
※写真は撮影スポットのみ撮影可能。
第1章 The Great LOUVRE ~偉大なるルーヴル美術館~
所蔵品は55万点に上り、総面積約60,600㎡、年間約900万人が訪れる、世界最大級の美術館、ルーヴル美術館。この章ではルーヴル美術館の表の顔に焦点をあてて描かれた作品を展示致します。会場ではルーヴルの代表的作品「サモトラケのニケ」と漫画がコラボレーションしたダイナミックなインスタレーションが皆様をお迎えします。
BDにまみれた「サモトラケのニケ」がバーンと出迎えてくれます。
展示作品は以下。
- 谷口ジロー/「千年の翼、百年の夢」
- クリスティアン・デュリユー/「魔法」
- エティエンヌ・ダヴォドー/「寄り目の犬」
- フィリップ・デュピュイ&ルー・ユイ・フォン/「坑内掘りの芸術」
- ダヴィッド・プリュドム/「ルーヴル横断」
谷口ジロー/「千年の翼、百年の夢」
「孤独のグルメ」などで知られる谷口ジロー氏は、日本におけるBDの第一人者。
原画の細かさに圧倒されます。
谷口ジロー氏は、今年の2月に亡くなってしまったのですが、こんな素敵な作品を残してくれてありがとう!と言わずにはいられない。
エティエンヌ・ダヴォドー/「寄り目の犬」
ルーヴルに展示される美術品は誰が選んでいるのか。
もし自分が持っている美術品をルーヴルに置いてもらうことが出来たなら。
日本語訳がないんですが、発想が面白くて読んでみたい!と思いました。
日本語訳出版求む!
ダヴィッド・プリュドム/「ルーヴル横断」
この章の展示で一番好きだったのが、ダヴィッド・プリュドム氏の「ルーヴル横断」。
鉛筆画で描かれた原画は、赤・黒・グレーのほぼ3色で描かれる世界。
ルーヴル美術館に来館する人たちもアートになるという面白い視点で描かれています。
第2章 Welcome to a Parallel World ~ようこそ、異次元の世界へ~
表の顔があれば、裏の顔もあるもの。この章では、「漫画」の自由な表現で、現実世界を離脱し、ルーヴル美術館の知られざる裏側を冒険します。どこかに存在するかもしれない異次元のストーリーで描く作品群を展示致します。名作や建物自体に宿る摩訶不思議な世界、私たちもいつしかその世界に誘われ、奇妙な体験をすることに…… そんなルーヴルの魔力に迫ります。
ここで、エンキ・ビラルに露伴先生、可愛い猫ちゃんたちがバーン!きますよ~。
展示作品は以下。
- マルク=アントワーヌ・マチュー/「レヴォリュ美術館の地下」
- エンキ・ビラル/「ルーヴルの亡霊たち」
- エリック・リベルジュ/「奇数時間に」
- 荒木飛呂彦/「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」
- 松本大洋/「ルーヴルの猫」
- ベルナール・イスレール&ジャン=クロード・カリエール/「ルーヴルの空の上」
エンキ・ビラル/「ルーヴルの亡霊たち」
日本でも有名なエンキ・ビラル氏。
美術館で亡霊、絵が動くっていう話です。
文字数が多く、人が溜まり気味。
映画監督もされていて、エンキ・ビラルの世界観は「ゴッド・ディーバ」を観るとよく分かるので、ぜひ。
荒木飛呂彦/「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」
ワタクシ大好きな岸部露伴。
ルーヴルへ行っちゃいました!
読者が読みやすいように、過去の話とルーヴルへ行く話で色味が変わっているそうです。
全編オールカラーで描かれた原画の美しいこと!!!
ルーヴルの美術品のオマージュもたくさん描かれていて、それを探すのも一興。
展示方法もさすがの荒木飛呂彦ジョジョの世界観といった感じで、ここはチカラ入ってます(笑)。
もう大好き。
松本大洋/「ルーヴルの猫」
「ピンポン」「鉄コン筋クリート」の松本大洋。
雰囲気がガラッと変わって、ルーヴルに住み着く猫視点の話。
猫すごい可愛い。
第3章 Beyond time and space ~時空を超えて~
ルーヴル美術館としての開館年は1793 年ですが、もともとはフランス王フィリップ2世が1200年頃に要塞として建設したルーヴル宮殿が基礎となっています。既に800年以上もの歴史を見守り続けたルーヴル美術館には、どのような未来が待っているのでしょうか?この章では、漫画家たちの無限の想像力で、過去から未来へ、時空を超えても変わらぬ存在感を放つ、ルーヴル美術館と名作の普遍性に焦点をあてます。
展示作品は以下。
※は、今回の展示会用に書き下ろされた日本人アーティスト作品
- ニコラ・ド・クレシー/「氷河期」
- 五十嵐大介/「ニケのうた」※
- 坂本眞一/「王妃アントワネット、モナリザに逢う」※
- ヤマザキマリ/「Palmyre au Musée 美術館のパルミラ」※
- 寺田克也/「ルーヴル消失」※
ニコラ・ド・クレシー/「氷河期」
BDプロジェクト第一弾、2005年の作品。
主人公のキャラクターがルーヴルの美術品を会話をしながら過去・未来を探るような話(たぶん)。
手書きの原画でとても綺麗です、ほんと素晴らしい。
今回の展示会用に書き下ろされた日本人アーティスト作品も素晴らしく、特にヤマザキマリの「Palmyre au Musée 美術館のパルミラ」が印象的。
シリアに住んだことのあるヤマザキマリが、ISが破壊したパルミラ遺跡を描いています。
今は跡形もなくなってしまったパルミラも、絵(漫画)を通して伝えることが出来る、伝えなければいけないと言うヤマザキマリさんに涙腺崩壊です。
絵が持つ力ってスゴイんですね。
坂本眞一の作品には、ダヴィンチが出てくるのですが、左利きだったダヴィンチを右利きで描いてて、最後に気付いて全部書き直したの大変だった~と笑いながら言ってるインタビューとかあって良かったし、デジタルでサササーっと描いてる映像もすごかった。
他には、バンド・デシネそのものの紹介があって、日本の漫画との違いが説明されていて興味深いです。
ルーヴルNo.9 グッズ
グッズは色々あります。
缶バッチ、クリアファイル、トートバッグ、Tシャツ、マグネット、手ぬぐい、ポチ袋、メモ帳、書籍、No.9図録などなど。
既に持っている「岸辺露伴 ルーヴルへ行く (愛蔵版コミックス)」も売られてました。
露伴グッズは、この本以外全然ないです。
フィギュアは、ビレバンで買ったジョジョの奇妙な冒険 岸辺露伴PENです。
最後にルーヴルNo.9はこんな方にオススメ
- とにかく漫画が好きな方
- ルーヴル美術館が好きな方
- 各アーティストに興味がある方
- バンド・デシネを知りたい方
- 猫が好きな方
- リカちゃんが好きな方※
- 神谷浩史さんのファン
- 米津玄師さんのファン
などなど、いろいろな方にオススメですー。
※リカちゃんは、フランス観光親善大使なのです。
展示の質がすごく高いですし、ルーヴル美術館(写真)にまた行きたくなったし、バンド・デシネと日本の漫画との違いも分かってすこーしだけ賢くなったような気がします!
5月28日までですが、まだ時間はあるので、是非、アジ美へGO~。
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