シッダルタ(インド/カナダ) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2014 –
- 2014.09.24
- Last Update: 2015.01.15
- Movie 福岡国際映画祭2014
- アジア映画
「シッダルタ / SIDDHARTH」
邦題 | シッダルタ |
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英題 | siddharth |
製作国 | インド/カナダ |
製作年 | 2013年 |
監督 | リチー・メーヘター |
上映時間 | 96分 |
これは今日のデリーで起きている事である
デリーでジッパー修理をして細々と収入を得ているマヘンダル。そこで、苦しい家計をなんとかしようと、12歳の息子シッダルタを遠方の工場で働きに出す。しかし数週間たっても息子は家に帰ってこない。お金もない、財産もない、頼れるひともいない。父親は自ら息子捜しの旅に出る。父親のその愚直なまでの姿に、わたしたちは祈るような気持ちでスクリーンを見つめてしまう。
「シッダルタ / SIDDHARTH」
これは「実話」である。
リチー監督がデリーに里帰りした際に、タクシーに乗ったリチー監督は運転手に「ドングリ」という場所を知っているかと聞かれた。タクシー運転手である彼は、自分の息子の身に起こったことを話し始めた。
1年間ずっと息子を探していた運転手。息子は「ドングリ」という場所にいるという噂がある。そこを知っているかと。リチー監督は、持っていたiPhoneで「ドングリ」を検索、「ドングリ」はムンバイにあるとすぐに分かった。運転手は他にも何か分かったら教えてくれと、電話番号をリチー監督に渡す。
後日リチー監督が電話すると、その電話番号はまったく別の人のものであった・・・。
お金もない、財産もない、頼れる人もいない。
警察への届け出も「行方不明者を探すには時間が経ちすぎている」と言われ、父親は自ら息子捜しの旅に出ようとするが、ムンバイまで行くのに45日働いてお金を貯めなければいけない。
父親が息子の行方を尋ね歩くその姿には、涙せずにはいられなかった。
探し疲れ、最後には「俺は息子の顔も思い出せない・・・」とつぶやくマヘンダル。
自分の父親に電話するマヘンダル「俺は出来ることは全てやったんだ・・・」と。
父親に「これも神のご意志だ。お前は帰って嫁と娘の世話をしっかりするんだ」と言われ家に戻るマヘンダル。次の日、マヘンダルは家族を守るために、力を振り絞って働きに出かけるのだ。
インドで頻繁に起こっている子供の人身売買。
現在はパキスタンルートなどもあるそう。
インドの貧困層の人たちの現実を丁寧に描いたリチー監督。
政治的、宗教的問題は抜きに、人が尊厳をもって生きていくとはどういうことか、心に訴える作品だった。
家族もいる、落ち込んで鬱になるという選択肢はなく、働かざるをえない状況で生きている。
どんなに劣悪な状況だろうと前向きに生きる人たち。
今までずっと一緒に居た人が突然居なくなる悲しみ、何が「救い」になるかは分からないけど、それでも生きている私たちは、生きていかなければいけない。前を向いて。
Q&A時のリチー監督。
小さなことを発見する天才、どんなことにでも興味を持つって素晴らしい。
真面目だけどお茶目な一面もあってファンになっちゃった!
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