望郷のうた(トルコ・フランス・ドイツ) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2015 –

望郷のうた(トルコ・フランス・ドイツ) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2015 –

「望郷のうた / Song of My Mother」

★★★★★

邦題 望郷のうた
英題 Song of My Mother
製作国 トルコ・フランス・ドイツ
製作年 2014年
監督 エロル・ミンタシュ
上映時間 103分

<あらすじ-公式サイトより->

居場所を探し、往くべき道を求める

教師のアリは小説家志望。母親とイスタンブールの多くのクルド人が住むエリアに住んでいた。旧市街の高級化に伴い、親子は郊外へと引っ越しを余儀なくされた。隣人たちはトルコ東部の彼らの村へ帰ったと思い込む母親は、毎朝荷物をまとめ、村へ戻るために街中をさまよう。アリはそんな母親を優しくなだめるしかなく、母親が聞きたいという歌手のテープを街中で探すのだが、その歌声はなかなか見つからない…。

「望郷のうた / Song of My Mother」

トルコのクルド人※1の物語。
土地を追われ、今まで住んでいた村も再開発で離れざるを得ないクルドの人たち。
アリの母親はその暮らしに馴染めず、毎日村へ帰ろうとする。

若い世代の人たちは、トルコ人に紛れ、イスタンブールの暮らしにも馴染んでいる。
主人公のアリもそんな中の一人だ。

そんな中、お母さんが聞きたがるクルドの古い歌。
国を持たないクルド人は歌で歴史を伝えるそうだ。
カセットテープを探しに出かけるアリだが、なかなか見つからない。

処理しきれない行き場のない気持ちを、心のなかに埋葬しているようなシーンがたくさんで、観ていて辛いし長い。
ただ、最後は、クルド人の尊厳を持ち続け「見えないところに隠していたもの」を取り出すことが出来た主人公に胸が熱くなる。

※1 クルド人はトルコ、イラン、イラク、シリア、アルメニアの隣接する国境の山岳地帯に分布し生活。今回の映画はトルコのクルド人が主人公。


俳優アジズ・チャプクルトさん。彼もクルド人。
最初のシーンで「カラスの寓話」をする教師役で登場。
このシーンがなければ、最後のシーンが活きてこない。