マタンゴ(日本) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2015 –

マタンゴ(日本) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2015 –

「マタンゴ」

★★★☆☆

邦題 マタンゴ
製作国 日本
製作年 1963年
監督 本多猪四郎(本編)/ 円谷英二(特撮)
上映時間 89分

これは東京の病院に収容された青年の回想録である

ある日、豪華なヨットで海に繰り出した7人の若い男女が遭難し、無人島に漂着した。そこは、カビと不気味なキノコに覆われた孤島であった。唯一見つかった難破船には、少数の食料が残されていたものの生存者はおらず、「船員が日々消えていく」といった内容の日誌と「キノコを食べるな」という旨の警告が残っていた。始めは協力していたが、やがて心がバラバラになっていき、食料と女性を奪い合い対立する飢餓と不和の極限状態が訪れると共に、島の奥からは不気味な怪物が出没し始める。そして1人、また1人と禁断のキノコに手を出していく。

「マタンゴ」

マタンゴは怖いけど、人間も怖い

お坊ちゃんたちが、7人のグループでクルーズに出かけ、嵐で遭難し、島に漂着。
この島は、なぜかほとんど魚も取れない、鳥も寄り付かない。
気味の悪いキノコだけがたくさん生息している。

それぞれに思惑はあるものの、たいした考えも無いため、心はバラバラに。
食料も底がついてくることが分かると、次第にエゴを剥き出しにしてゆく7人。

禁断のキノコの甘い味。
このキノコを食べた者は、キノコ人間になってしまう。
ひとり、ふたり…そしてキノコを食べていないのは、村井と明子だけになる。

キノコ人間(マタンゴ)は、理性をどうにか保っている村井と明子のもとにやってくる。
怖いのが、殺しに来るのではなく、キノコを食べさせにくるところ。
自分がこんな状態になったから他人にもそうさせよう、と巻き添え作戦をするマタンゴたち・・・。
キノコの癖に思考がすごく人間的で怖い!

結局、明子は連れ去られてしまい、村井は助けに行くが時すでに遅し…。
明子は「おいしいわ、ほんとうよ」とマタンゴを村井に勧めるのだ!
村井はその場から逃げ出し、ヨットに乗って島からも脱出。
(え?ヨット??みたいな急展開w)

戻ってきた村井は病院に収容されていた。
キチガイ扱いされるなら戻ってこない方がよかった。
恋人と一緒にキノコを食べて幸せになった方がよかった。

振り返る村井。
キノコへの変身が始まっていたのだった。
(食べたのね…)

衝撃のラスト。
極限下において「生きる」ということの本質を訴えかけてくるこの「マタンゴ」。
東宝の変身人間シリーズ全4本(美女と液体人間(1958年) / 電送人間(1960年) / ガス人間第一号(1960年) / マタンゴ(1963年))のうち最後の作品。
出演している俳優さんたちがすごく良い味を出しているところも、観る価値ありの1本。