風は記憶(トルコ・仏・独・ジョージア) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2016 –
- 2016.09.28
- Last Update: 2016.10.07
- Movie 福岡国際映画祭2016
- アジア映画
「風は記憶 / Memories of the Wind」
邦題 | 風は記憶 |
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英題 | Memories of the Wind |
製作国 | トルコ・仏・独・ジョージア |
製作年 | 2015年 |
監督 | オズジャン・アルペル |
上映時間 | 126分 |
それぞれの心に閉ざされた記憶
第二次大戦中のトルコ。共産主義者の主人公は、反抗分子として政府から追われていた。危険なイスタンブールから脱出しソビエトへ亡命するため、国境近くの山小屋に潜伏。そこには初老の男性と若い女性というワケありげなふたりがいた…。抑圧された人々の秘めた想いを詩情あふれる映像美で描く。
舞台は第二次大戦下のトルコ
記者(翻訳家?)で画家の主人公アラムは、共産主義者であることから政府から終われ、ソビエトとの国境近くの村に潜伏した。
匿ってくれる初老の男と若い女、緊張感のある空間。
潜伏先の村でも、政府によって潜伏者が次々と捕らえられ、アラムの身も危険になってくる中で、山小屋に移動することになる。
アラムが封印した過去
言葉を封じられた主人公アラムが、潜伏先の抑圧された生活の中で見つめる過去。
それは、第一次大戦でのアルメニア人迫害の記憶。
山小屋に映ったアラムはさらに極限の孤独に追いつめられる。
深い森、そして真っ白な霧の中で、何度も幼少期の記憶が蘇ってきて…
深い森の静かな風景、雨、深い霧、穏やかさが、アラムの孤独をより一層際立たせていて、観ていてとても辛かった。
詩的な映像美
登場人物たちが置かれた状況はとにかく息が詰まりそうで、最後まで見応えあり。
自由求める姿にかかる深い霧は、ハッピーエンドを願う視聴者に暗い影を落としていて、観ていてとてもしんどい。
ただ、全てのカットが絵画を観ているような、そのカットにまた別のカットを重ねて、たくさんの層になって襲い掛かってくるような、静かに胸に沁みる作品になっています。
Nothing
登場人物たちが何かを言いかけて「Nothing」と口をつぐむシーンがとても印象的。
マイノリティーたちが強いられた言論の統制、迫害の歴史を、現代に生きる私たちが「Nothing」にしてはいけない、口をつぐむことなく伝えていかなくてはいけない、というメッセージも感じられました。
過去の自分と向き合う、過去から教訓を得る、なかなか難しいことだけど。
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