「福岡国際映画祭2014」カテゴリーアーカイブ

慶州(韓国) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2014 –

「慶州 / Gyeongju」

★★★★☆

邦題 慶州
英題 Gyeongju
製作国 韓国
製作年 2014年
監督 チャン・リュル
上映時間 145分

<あらすじ>

古都・慶州を舞台にした不思議な1泊2日の旅

中国の大学で教鞭をとるチェ・ヒョンは友人の葬儀のため、久しぶりに韓国に戻った。葬儀の後、友人との昔話の中で、ふと共に慶州を旅した時に見た茶屋の壁にあった春画のことを思い出す。チェ・ヒョンはその記憶を確かめるため、衝動的に慶州へと向かった。チャン・リュル監督が慶州を舞台に描く、ほのかなユーモアに彩られた、ゆるやかでファンタジックなロマンスの旅。

「慶州 / Gyeongju」

7年前に見た春画を探すために春画があった慶州の喫茶アリソルに行くチェ・ヒョン。
だが、春画はすでになくなっていた。
突然春画の行方を尋ねるチェ・ヒョンの怪しい行動に、変態だと誤解する喫茶店主のコン・ユニ。

実は、この二人のドキドキする出会いを作った春画は、実際にチャン・リュル監督が1995年に初めて慶州を訪れたとき、喫茶アリソルの壁の片隅に描かれていたんだそう。
しかし、7年後チャン・リュル監督が再び慶州を訪れたとき、その春画はなくなっていて、これが「慶州」のモチーフになったとのこと。

古都慶州の美しい風景を、チェ・ヒョンと一緒に旅をしているような気分になる。
あれこれ考えて観るというよりは、映画のゆっくりした時間と描写に身を任せるような映画だった。

感心したのは、監督が日本人のおばちゃんをよく観察しているなぁということ(笑)。
パク・へイルさんを観て「あの人イケメンだわ~、ひょっとしたら俳優さんじゃない?映画俳優だったかしら?ドラマ?何かのドラマに出ていたような・・・」と言って、ユニが「俳優です」なんて嘘をつくもんだから、帰りに「写真を一緒に撮ってもらえませんか」と写真を撮るシーン。笑えたー。

店を出てわざわざ戻ってきて「韓国の方に日本がしたことを謝りたい」と言うところ。
日韓の少し敏感な部分をさらっと盛り込んで「納豆」で笑いに変える監督に脱帽。

ちょっと下心があって掴みどころのないキャラも、自転車のシーンも、カラオケでの変なダンスも、すべてがパク・ヘイルさんの独特の魅力にぴったりだった。
そして、登場人物たちは、それぞれの想いを抱えて、それでも前を向いて歩いていく。
帰ることが出来る場所があるっていうのは、いいものだと信じて。

二度目を観た夫によると、この映画の登場人物は色んな意味で死んでいるのではないかとのこと。
なんだか無気力なチェ・ヒョン(パク・ヘイル)や、写真に写りたがらないコン・ユニ(シン・ミナ)。
先輩の奥さんも「チェ教授なら分かるでしょう。夫は自ら死ぬことを選んだんです。精神的には死んでいたのです。」とか言うシーンがあって、それが伏線になっているのでは・・・と深読み?
ううむ。確かに、白と黒の対比も何だかだし。
これは再度確認する必要がありますな。

チャン・リュル監督、パク・ヘイルさん、プロデューサー キム・ドンヒョンさんのサイン。
パク・ヘイルさんは、爽やかで、すらっとしていて、素敵でした。特に声が素敵だった。

Q&A記事
ディレクター懇談
<上映スケジュールは こちら

絵の中の池(イラン) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2014 –

「絵の中の池 / The Painting Pool」

★★★★★

邦題 絵の中の池
英題 The Painting Pool
製作国 イラン
製作年 2013年
監督 マズィヤール・ミーリー
上映時間 96分

<あらすじ>

小さな家族の大きな愛にあふれた物語

軽度の知的障がいをかかえる両親マルヤムとレザに大切に育てられたソヘイル。
裕福ではないけれど笑顔の絶えない温かな家庭で幸せな毎日を送っていた。しかしソヘイルは小学校の高学年になり、自分の家庭が他とは違うことを知りはずかしさを感じるようになる。
息子の変化についていけないマルヤムはおろおろするばかり。
両親の深い愛情をソヘイルはどう受け止めるのか。

「絵の中の池 / The Painting Pool」

7/29(火)の記者発表会で、一足先にこの映画を見てきたので、少し感想を。
映画祭期間中にもう一度見て追記したいと思います。

>>> 以下、多少ネタバレあり <<<
———-
愛は障害(障がい)を乗り越えて、それを克服することが出来るのか。
すべては挑戦。

軽度の知的障害をかかえながら、息子ソヘイルを育てるマルヤムとレザ。
それは二人にとって挑戦だ。
通りを横断するのも、ピザを作るのも、息子の宿題を手伝うのも。

しかし、ソヘイルは、小学校の高学年になり、自分の家庭が他とは違うことを恥ずかしいと感じるようになる。
ほかの家の子になれたらどんなにいいだろう。
教頭先生の家に転がり込むソヘイル。
憧れの家庭だったが、ここにも様々な悩みや苦しみがある事が分かってくる。

障害の有無は関係なく、家族(夫婦)にとって大切なものに気付いたとき、
マルヤムは屋上にも登れるようになり、進まないバイクは走り出し、笑い声に包まれるラストに涙。

特にお母さん。とてもチャーミング。
家族を思う純粋な気持ちがすごく伝わってくる。
難しい題材なのに、暗い気持ちにはならない、考えさせられるけど、ライトに観られる映画だ。

ソヘイルとはまったく状況が違うけど、
私は5姉妹の長女で、小学校高学年、中学校の頃は「5人姉妹」というのがすごく恥ずかしかったので、
この多感な年頃の気持ち・・・なんとなく分かる。
大人になった今では、5人姉妹も、大家族も自慢だけど。

ソヘイルは10歳で自分の家族にしかない良さ、唯一無二のものに気付いたんだから、素直にすごい。

<上映スケジュールは こちら

オープニング – アジアフォーカス福岡国際映画祭2014 –

今年で24回目のアジアフォーカス・福岡国際映画祭2014、いよいよ開幕!

9月12日(金)、オープニングセレモニーが開催されました。
この映画祭で上映される映画の監督や俳優など、ゲストが続々と福岡に。

わくわく、ドキドキ感と共に
ボランティアスタッフとしても気合いが入ります。

スタッフは、超絶カッコいいTシャツを着ています。
福岡らしく「ラーメン」フィルムTシャツ!
ご不明な点などあれば、スタッフまで~。

19:00から始まったオープニングセレモニー。
拍手の中、レッドカーペットを歩く映画人の皆様。

素敵すぎて目頭が熱くなりました…
感情失禁しがちな今日この頃です。



福岡市長
「素晴らしい映画を上映できるのは市民にとって大きな喜び」

おすぎさん
「アジア映画は身近に感じることが出来ながら、違いを楽しむことが出来る」

梁木ディレクター
「映画を”観る”ことは、人間を”見る”こと。見ることを大切にして。映画も楽しんで。」

と、挨拶がありました。
さぁ始まります、アジア映画の不思議な魅力に取り憑かれる10日間。
今年は何作観られるかな~。

上映作品紹介はこちら!

アジアフォーカス・福岡国際映画祭2014

今年で24回を迎えるアジアフォーカス・福岡国際映画祭
毎年楽しみにしておられる方も多いと思いますが、私もその中の一人。
しかも今年はボランティアにも参加します!!!

メイン会場は「キャナルシティ博多」の「ユナイテッド・シネマキャナルシティ13」。
また「福岡市総合図書館映像ホール・シネラ」も会場になっています。

会期は2014年9月12日(金)がオープニング、
9月21日(日)までの10日間の開催です。

公式招待作品は15作品。
その他にも、日本映画特集台湾映画特集もあります。
詳細は公式サイトよりご確認を!

福岡国際映画祭は、アジアの「今」を感じることが出来るステキな映画祭です。
監督・俳優などのゲストとのディスカッションもあって、映画がとても身近なものに感じられます。
福岡にこんな映画祭があって本当に嬉しい!

チケットは、前売り券がお得!-> チケット情報

  前売券 当日券
1作品券 1,100円 1,300円
1作品学割券
(中高大生・留学生)
500円
5作品券 4,400円 5,500円
フリーパス 11,000円 13,000円

ちなみに、特別招待イベントもあるので、応募してみてください。
全部おすすめですが…

D:福岡観客賞授賞式 &「狂舞派」特別上映会。
去年上映された作品。私ももう一度見たい作品です。
レビューはこちら -> cool Hong-Kong !!! 狂舞派

C:台湾映画大特集 「KANO~1931 海の向こうの甲子園~」特別試写会
永瀬正敏主演の台湾映画。
こちらも見たいです!

福岡国際映画祭の作品、今年は全部制覇できるといいな~。
ボランティアもしっかりやりますが、映画もしっかり見てレビューできるといいなと思ってます。