春眠不覚暁 処処聞啼鳥 夜來風雨聲 花落知多少
春眠暁を覚えず。
ここの後の句が素敵だよね。
ふと眼をさませば、あちこちで小鳥の啼く声がきこえる。
そういえば、昨夜は風雨の音がはげしかった。
あの嵐で、庭の花はさぞたくさん散ったことだろう。
課 題
「樹古寒葉未落峰高積雪難消」
読み方
「樹古く寒葉未だ落ちず、峰高く積雪消え難し
( じゅふるく かんよういまだおちず、みねたかく せきせつ きえがたし。)」
意 味
「樹は古びても、冬の葉はまだ落ちてはおらぬ。
峰は高くして、積もれる雪はなかなか消えにくい。」
出 典
「王岱(おうたい)」清時代
錦光園の「玄香」で書いた書き初め。
書いているときも、墨の良い香りが充満して、心地よく書けた。
2015年、良い一年でありますように。
奈良といえば、奈良墨。
奈良では伝統的な墨作りが、今も手作業でおこなわれています。
墨は元々、中国から伝わり、推古天皇の時代には国内で作られていたという記録があります。
奈良時代に製造されていた墨は松煙墨(しょうえんぼく)で、その後、鎌倉時代に油煙墨(ゆえんぼく)の製造が始まりました。
江戸時代に入ると各地で製造されるようになりましたが、実績のある奈良に優秀な職人が集まったため、1300年にわたって奈良の伝統産業となったのです。
奈良では、墨を作っている会社が7件、墨職人(墨工)はたったの10人!
たった10人の墨職人(墨工)で日本の墨の90%を作っているそうです。
墨を作る時期は10月~3月までの約半年間。
その間に墨職人(墨工)は、1日200~400個もの固形墨を作るそうです。
生まれて初めて訪れた奈良で「にぎり墨」を体験してきました。
「にぎり墨」も昔ながらの材料と製法で手作りされている質の良い奈良墨です。
訪れたのは、奈良のメインストリート、三条通りから小脇にちょっと逸れた所にある「錦光園」。
「錦光園」では、上質の油煙墨(ゆえんぼく)で世界にひとつしかない自分だけの墨を作ることが出来ます。
墨の材料はこちら!
・ニカワ
・松煙(しょうえん)
・油煙(ゆえん)
・龍脳(りゅうのう)
・香料
松煙(しょうえん)は、赤松からしか取れない貴重な墨。
赤松というのは、周りに松茸が生える松です。日本の松茸は香りが良く高価ですよね。
そんな松茸が生えるところにしかない赤松を使って作る松煙(しょうえん)は、墨にするともちろん値が張ります。
油煙(ゆえん)は、植物の油から取る墨。
菜種油、胡麻油、椿油、桐油など。
菜種油を用いて作られた墨が最上だそうです。
※ちなみに墨汁は石油などの鉱物から作っています。
ニカワは、動物の骨・皮・腱などを水で煮た液を乾かし、固めた物質。ゼラチンです。
写真の左にあるのがニカワですが、固形の状態では全く匂いはないです。
松煙(しょうえん)や油煙(ゆえん)を取るには、材料を燃やして、蓋についたススを採取します。
燃やす器と蓋の距離が長ければ長いほど取れるススの量は少なくなるのですが、上質のススが取れるしそうです。そのススで作られた墨は上質でやはり高価な墨になるんだそう。
油煙(ゆえん)の方が色が濃く、松煙(しょうえん)は少しグレーがかっています。
龍脳(りゅうのう)は香料です。
墨を作る際にススをニカワで固めるのですが、ニカワの匂いが強いため、龍脳で香りを加えて臭いを消しています。龍脳は、ナフタリンの匂いがします。
香料は、墨職人が龍脳にムスクなどを混ぜてオリジナルで作っているものです。
錦光園の長野墨延さんもオリジナルで香りを作っています。
自分が作った墨だ!と分かるのは、磨ったときの香りで分かるそうです。
ついに墨づくりです。
墨の原料(油煙・ニカワ・香料)を練り合わせます。
この墨をしっかり乾かすと縮みます。
型の8割くらいの大きさになりますね。
「にぎり墨」は、丸めた墨を握って作ります。
やさしく手のひらでつつみ込み、ぎゅっと握る。
出来たての墨は、弾力があって柔らかい、グミみたいな感触です。
手の型と指紋がついた、世界に一つだけの自分の墨ができました。
これを紙に包み、桐の箱に入れてもらいました。
自宅に持ち帰って、箱ごとタンスの中などに入れて最低3ヶ月はそのままで乾燥させます。
3カ月は絶対に開けてはいけません!!
乾燥した墨は、紙を取って使っても良し、そのまま置いて数年経ってから使っても良し。
長野墨延さんおすすめの使い方は、筆置きだそうです。
玄関に置いて脱臭にも出来るそうです。3ヵ月後の完成が楽しみです!
墨は古いほど良いと言われています。
人の成長と同じように幼年、少年、青年、壮年、老年期と成長し変化していくんだそう。
この成長過程も墨の大小、厚み、保管場所によって違いが生じるそうで、なんともウイスキーみたいですね!
錦光園 墨職人の長野墨延さん。
松煙墨(しょうえんぼく)、油煙墨(ゆえんぼく) の製法を守り続ける錦光園の6代目です。
それぞれの商品に墨の色見本があります。
水10滴に540回磨る とか書いてあります。几帳面(笑)。
私が買った墨は「玄香」という油煙墨。
作って20年は経っているということで、私が15歳のときに作ったんですね。
さっそく磨って書いてみました。
磨り心地はとても素晴らしい、柔らかいので墨がよく下り、濃い墨がすぐに磨れる感じでした。
書き心地は、紙滑りがとても良くて、さらーっと書けました。
かすれもよく表現できて、ほどよくにじみも。
実は錦光園、7代目が継がないとのことで、6代目の墨延さんで工房を閉めるのだそうです・・・泣。
弟子もいるそうですが、働く期間が6カ月しかないこともあり、生活の保障ができないとのこと。
伝統を守り続けるというのは本当に大変なんですね。
そんなわけで墨職人の命「墨の型」も売ってあります。
私は大鵬の型を買いました。墨の香りもすごくします。たまりません!!!
墨は書画には不可欠なものであり、芸術品として高く評価されています。
墨で書かれた文字によって歴史が伝えられ、書が芸術として心に残る。
日本の文化を支えてきた墨、墨職人の皆さんに敬意を払わずにはいられません。
そして、手元にある墨もどんな風に成長していくのか、楽しみです。
課 題 「瑞氣集門」
読み方 「瑞氣集門(ずいきしゅうもん)」
意 味 「めでたいことが起る兆しの氣が、すでにあなたの玄関先に集まっている」
「めでたい氣が、その人の家に集まってくる」
今年もみんなに良いことが起こりますように!
課 題「瑞煙呈福壽」
意 味「めでたい祥煙が、幸福と長寿を呈示している」
小さな幸せを積み重ねて、人生はより豊かになっていく。
いつも笑顔でいられますように。
課 題 「門外数峯雪炉前一硯水」
読み方 「もんがいすうほうのゆき、ろぜんいっけんのこおり。( 門外数峯の雪、炉前一硯の水。)」
意 味 「門のすぐそこにはいくつかの峰の雪景色が見え、炉のそばとはいえ、さすがに寒き頃になれば硯の水も凍っている。」
2011年、はじまりました。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか?
南国九州とはいえ、福岡は日本海側。
雪もちらつくお正月となり、水柱(つらら)も出来ていました。
外を見ると、油山の峰に雪景色。
硯の水は凍りはしないけど、冷たかった。
そんなお正月でした。
今年一年、良い一年でありますように。
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古梅園の枯墨で書いた書き初め。
墨汁と違って、スーッと書けて、なおかつ、カスレも綺麗。
書は深い。
妹から「古梅園」の墨をもらいました。
夏目漱石が「墨の香や 奈良の都の 古梅園」と詠んだほど、文人や書家に愛された「古梅園」。
400年以上もの歴史があり、現在も宮内庁御用達の奈良墨を作り続ける世界のトップブランドだそうです。
「いつか古梅園の墨で作品を書きたい!」と思う書家も数多いと聞く・・・
5つ星や3つ星などランクもあるそうです。
私がもらった墨。
1981年度製で、ほどよく枯れて、鳳凰の絵付けもとても綺麗。
摺ってみると、香りも抜群に良い!墨汁とは全く違います。
「奈良墨」は奈良の名産品。
日本の9割の墨は奈良で作られているそうです。
墨といえば、古梅園 というくらいの墨の名店で買ってきてくれた墨を、
書き初め作品で使ってみようと思っています。
課 題「十指有長短」
読み方「じゅっし ちょうたん あり」
意 味「十本の指にも長短があって、それぞれの個性や役割がみな違う。」
一指では出来ないことも、全部の指を使えば、色んな事が出来る。
太い指、短い指、細い指、長い指。
十指それぞれが、個性と役割があって、支えあっているんですね。
人間も社会も同じ。
課 題「白雲無盡時」
読み方「白雲盡くる時無し(はくうん つくる ときなし)」
意 味「白い雲は尽きることなく湧き続ける」
9月というのに、まだまだ暑いです。
暑さ、寒さも彼岸まで。
夏の青空に浮かぶ白い雲は、どこまでも続いています。