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ロマンス狂想曲(台湾) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2014 –

「ロマンス狂想曲 / Apolitical Romance」

★★★★☆

邦題 ロマンス狂想曲
英題 Apolitical Romance
製作国 台湾
製作年 2013年
監督 シエ・チュンイー
上映時間 90分

<あらすじ>

甘くてピリっと刺激的な異文化交流ラブコメディ

台湾と中国大陸のむずかしい関係を、ふたりの若い男女に託して爽やかに描く。アーチェンは役所で働くやさ男。ある日、北京から祖母の初恋の人を探しに来たチン・ランと出会う。美人だが、わがままで押しが強い。人捜しの旅で、ふたりは感じ方考え方の違いに衝突を繰り返す。近づけそうで近づけないもどかしさ。ぎくしゃくしながら、このドタバタ恋愛喜劇はノンストップで突っ走る。

「ロマンス狂想曲 / Apolitical Romance」

タイトルの元ネタは、リッチー・レンが歌ってヒットした「對面的女孩看過來」ということで、原題は「對面的女孩殺過來」。
直訳すると「向かいの女の子が殺しにやって来た」という物騒なタイトル!
監督いわく「普通にやって来るのではなく、すごい勢いで来た」という意味なんだそう。

台北の28歳の公務員アーチェン。
上司に提出する企画書をまとめるのには「中国大陸の人間との交流が不可欠」と言われて、台北の食堂で知り合った中国人の旅行者チン・ランを自宅に連れ帰ることに。

祖母のかつての恋人を捜しに台湾にやってきたチン・ラン。
提出する企画書の修正に協力してもらう代わりに、人探しを手伝うことになったアーチェン。
政治的背景も違えば性格も違う2人は、感じ方、考え方の違いに衝突を繰り返しながらも、互いに信頼する関係を築いていく。

近づけそうで近づけないもどかしさ。
2人を通して台湾と中国大陸の難しい関係を爽やかに描いていて、アップテンポの展開が心地よい作品だ。
そして家族との関わり合いに関してもほろりとさせてくれる。

政治的に難しい関係にある国はたくさんあるけど、人と人とは分かり合える、つながることが出来る。
若い世代にはその差を「埋めていく力がある」と感じさせてくれる。

それにしても、アーチェン。見事なガンプラヲタ!それもとっても爽やかな。
チン・ランのお蔭で、アーチェンは自分の夢に向かって進んでいくのだが、チン・ランのガンプラへの扱いがひどすぎると話題になっていた(笑)。
その理由が、彼女が彫刻を勉強している学生だということが分かったから。

まぁ、確かに。
芸術が分かる人は、そういうものに対しても敬意をもって扱うのではないかな~と。
監督はガンダムが大好きだと言っていたから、逆に意図してそういう風にしたのかもしれないね!


上映前挨拶では、「福岡が大好きになりました。」とシエ・チュンイー監督。
チャン・シューハオさんは「福岡に来てからは、毎日ラーメンを食べています。」と言って笑いを誘っていた。
シエ・チュンイー監督もチャン・シューハオさんも爽やかなイケメンで、このお二人からロマンスお裾分けしてもらえて最高の1時間半。

Q&A記事

神の眼の下(もと)に(韓国/カンボジア) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2014 –

「神の眼の下(もと)に / God’s Eye View」

★★★☆☆

邦題 神の眼の下(もと)に
英題 God’s Eye View
製作国 韓国/カンボジア
製作年 2013年
監督 イ・ジャンホ
上映時間 90分

<あらすじ>

究極の状況の下で描かれる人間の苦悩と選択

東南アジアのある国で、海外宣教の奉仕活動をする9人の韓国人。ある時、イスラム過激派たちが支配する地域に足を踏み入れてしまった。ほどなく一行は、拉致される。彼らの運命をにぎるのは…。80年代、韓国ニューシネマの急先鋒だった韓国リアリズム映画の巨匠イ・ジャンホ監督が19年ぶりにメガホンをとった注目作。濃厚な演出力と繊細な心理描写で描く人間ドラマ。

「神の眼の下(もと)に / God’s Eye View」

架空のイスラム国家でキリスト教の布教活動をする韓国人が武装集団に拉致されるという設定で信仰とは何かをストレートに問うこの映画。
敬虔なクリスチャンであるイ・ジャンホ監督が、遠藤周作の「沈黙」をモチーフに撮影した力作。

自らの神への愛を守るためには、クリスチャンたちを苦しめなくてはならない。
クリスチャンたちを救うためには、自らの神への愛を捨てなくてはならない。

主人公ヨハンも、このジレンマに2度遭遇している。
神はなぜ沈黙を続けているのか。

ヨハンは、宣教師でありながら、一度背教した過去があった。
人間は弱い。どんな人間でも、苦しみを知り、許しを乞いながら生きている。
弱い者が強い者よりも苦しまなかったと誰が言えるのか。

どんなに弱く、愚かでも「許しを乞う」という権利だけは残されている。
自分の弱さを認められる人だけが強くなれる。

壮絶なラストシーン。
一緒にいた神父はヨハンと同じ「聖なる背教」をしてしまう。
ヨハンの最後の笑顔がすべてを物語っていた。

主演のオ・グァンノク氏の圧巻の演技に圧倒される。
そして絶望的な状況の中で、少年兵との交流が描かれているのだけど、そのときばかりはホッとする一コマとなっている。

韓国にキリスト教の基盤があるというのは知っていたけど、キリスト教に慣れ親しんでいない日本人からすると、理解できない部分も多くて、宗教って本当に難しいと思った。
特に、イスラムとキリストというのは相容れないとても敏感なテーマであるし、キリスト教=善、イスラムゲリラ=悪 というステレオタイプな構図には、多少違和感を覚えた。
宗教映画ではないので、人間の心の葛藤を描いた作品として観るとより楽しめる作品だと思う。

オ・グァンノク氏自身は宗教を信じていない人だそう。
宗教というのはデリケートな問題なので、そこに生きている人たちの観点から演じたとのこと。


主演俳優のオ・グァンノク氏。
とても気さくで、穏やかで、やさしい笑顔の普通のおじさま。


オ・グァンノク氏とキム・ヒョヌプロデューサーのサイン。
ハート書いちゃうグァンノク氏、素敵すぎて萌えた~。

Q&A記事
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私は彼ではない(トルコ/ギリシャ/フランス) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2014 –

「私は彼ではない / I’m not him」

★★★★☆

邦題 私は彼ではない
英題 I’m not him
製作国 トルコ/ギリシャ/フランス
製作年 2013年
監督 タイフン・ピルセリムオウル
上映時間 129分

<あらすじ>

人間の内に秘めた欲望を独特のリズムで描く

独身の中年男ニハット。ある日、職場の同僚アイシェから夕食に誘われる。部屋の写真を見て、彼女の服役中の夫が自分に瓜二つであることに気づく。二人は同棲を始めるが、アイシェは間もなく事故死。夫になりきって生活を続けるニハットだが、その後思わぬ事態が…。他人の顔になりすました人間のおそれとおののき、カフカ的な展開が魅力的である。

「私は彼ではない / I’m not him」

最初のシーン。
朝起きて鏡をのぞくニハット。
自分の顔をしげしげと見つめ、立ち去る。
そのあと、鏡のなかだけに顔があらわれる。
・・・私は彼ではない。

ニハットは職場でアイシェと出会う。
アイシェの夫は服役中だが、なんとニハットとそっくりなのだ。
こうして、ニハットは夫の「そっくり」として生きることにする。

ニハットは他人(ネジップ)になり変わることで、自分の欲望を全て実現させたように見えた。
他人になりかわりアイデンティティも揺らいでいく。

最後は、ニハットはネジップとして囚われて、最初に入れられた留置場に入れられる。
また見知らぬ男がいる。男は靴で鉄格子を叩くのだろうか。
ラストシーンで鉄格子を叩く音は、最初のそれよりも弱々しい。
ニハットが叩いているのだろうか。

見かけは I am him
行動は I’m not him だったのか・・・。

「私は彼ではない≒私は彼になった」
どこまでも曖昧で、答えのない意識の迷路に迷い込んでしまって、それを楽しむタイフン監督はちょっとズルいw。

それにしても、トルコの皆さんはよくチャイを飲みますね。
喫茶でチャイ、夕食前にチャイ、フェリーに揺られてチャイ、アイシェが死んでもチャイ。
帰りにチャイを飲んで帰ったのは言うまでもなし。

タイフン監督はとても素敵なおじさま!
女優のマルヤムさんはとてもクレバーで、美しかった~。

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ディレクター懇談
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予兆の森で(イラン) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2014 –

「予兆の森で / Fish & Cat」

★★★★★

邦題 予兆の森で
英題 Fish & Cat
製作国 イラン
製作年 2013年
監督 シャーラム・モクリ
上映時間 141分

<あらすじ>

驚異の1カット撮影!終始漂う不安感は病み付きに

まがまがしい予兆をはらみながら、カメラは移動し続ける。森に囲まれた湖の畔、凧揚げイベントに参加するために集まった学生たち。近くのレストランの料理人たちは料理のための”肉”を探していた…。本作は実話に基づくが、決定的な何かが起こるという不安をはらんだまま、何も起こらない物語の中をさまよい続ける。134分を1カットで撮影した大胆不敵な傑作。

「予兆の森で / Fish & Cat」

さすが!イラン映画にハズレなし!
まず、全編ワンカット撮影という、なんとも実験的な作品で、これは絶対に観たいと思っていた作品。

説明は難しくて、まぁとにかく観てよ、っていう感じだけど、
監督の言うように、まさにエッシャーのだまし絵を見るような感覚の映画。
不安のリレーかと思っていたら、デジャヴした瞬間、少しずつ混乱。

ループして、ねじれて、交錯していて。
モクリ監督の作った不気味な森を彷徨ってる気分。
音楽の付け方も秀逸だし、映画全体の色彩も素晴らしい。

全編ワンカットで撮った理由として、観客に時間の流れを感じて欲しかったと仰っていた。
カットがある映画は虚構で現実じゃないから、中国の模倣品みたいなるから、と(ここで笑い起きるw)。
また、ワンカットだったので検閲もらくらくパスだったらしい。

タイトルの「Fish & Cat」に関しては、
猫がいつも魚を狙っているように、若い世代を狙う古い世代(新しく変化することを好まないというイラン独特の世界観)、またイラン自体が常にどこかに狙われている状態で、何かが起こるかもしれないという不安を抱えつつ生きるイランの人たちの現実も描きたかったとのこと。

シャーラム・モクリ監督、1978年生まれということで、勝手に親近感!クレバーで、クリエイティブで、新しいことに挑戦する勇気があって。
それに、いつもニコニコしていて、話してみるとご夫婦そろって、すっごく素敵な方だった。
イラン人の半分は優しさで出来ているって本当だな。

個人的には「予兆の森で / Fish & Cat」に観客賞をあげたいほどの作品だった。
ポスターは怖いけど・・・もう一度、観たい。

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タイムライン(タイ) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2014 –

「タイムライン / Timeline」

★★★★☆

邦題 タイムライン
英題 Timeline
製作国 タイ
製作年 2014年
監督 ノンスィー・ニミブット
上映時間 135分

<あらすじ>

時代を超えて想いがつなぐ甘く切ない物語

シングルマザーのマットは、一人息子のテーンが農業学校へ進み、農園を継いでくれることを望んでいた。しかし、テーンは新しい世界を望んでいた。彼は母を説得し、バンコクへ。大学の新入生歓迎会で、 チャーミングなジューンと出会い、彼の日常は変わっていった。タイ映画の王道を行く、ハートフルな感動作。唐津くんちなど、佐賀県各地で撮影されたシーンにも注目。

「タイムライン / Timeline」

>>> 以下、多少ネタバレあり

テーン役のチラーユ・タンシースックさんからのビデオメッセージ。
上映後のQAでは、ジューン役のャリンポーン・ジュンキアットさんが、
映画と同じく可愛らしい仕草、キュートな笑顔で会場を沸かせていた。
佐賀県のロケでは、特に祐徳稲荷神社が素晴らしかったとのこと。

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慶州(韓国) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2014 –

「慶州 / Gyeongju」

★★★★☆

邦題 慶州
英題 Gyeongju
製作国 韓国
製作年 2014年
監督 チャン・リュル
上映時間 145分

<あらすじ>

古都・慶州を舞台にした不思議な1泊2日の旅

中国の大学で教鞭をとるチェ・ヒョンは友人の葬儀のため、久しぶりに韓国に戻った。葬儀の後、友人との昔話の中で、ふと共に慶州を旅した時に見た茶屋の壁にあった春画のことを思い出す。チェ・ヒョンはその記憶を確かめるため、衝動的に慶州へと向かった。チャン・リュル監督が慶州を舞台に描く、ほのかなユーモアに彩られた、ゆるやかでファンタジックなロマンスの旅。

「慶州 / Gyeongju」

7年前に見た春画を探すために春画があった慶州の喫茶アリソルに行くチェ・ヒョン。
だが、春画はすでになくなっていた。
突然春画の行方を尋ねるチェ・ヒョンの怪しい行動に、変態だと誤解する喫茶店主のコン・ユニ。

実は、この二人のドキドキする出会いを作った春画は、実際にチャン・リュル監督が1995年に初めて慶州を訪れたとき、喫茶アリソルの壁の片隅に描かれていたんだそう。
しかし、7年後チャン・リュル監督が再び慶州を訪れたとき、その春画はなくなっていて、これが「慶州」のモチーフになったとのこと。

古都慶州の美しい風景を、チェ・ヒョンと一緒に旅をしているような気分になる。
あれこれ考えて観るというよりは、映画のゆっくりした時間と描写に身を任せるような映画だった。

感心したのは、監督が日本人のおばちゃんをよく観察しているなぁということ(笑)。
パク・へイルさんを観て「あの人イケメンだわ~、ひょっとしたら俳優さんじゃない?映画俳優だったかしら?ドラマ?何かのドラマに出ていたような・・・」と言って、ユニが「俳優です」なんて嘘をつくもんだから、帰りに「写真を一緒に撮ってもらえませんか」と写真を撮るシーン。笑えたー。

店を出てわざわざ戻ってきて「韓国の方に日本がしたことを謝りたい」と言うところ。
日韓の少し敏感な部分をさらっと盛り込んで「納豆」で笑いに変える監督に脱帽。

ちょっと下心があって掴みどころのないキャラも、自転車のシーンも、カラオケでの変なダンスも、すべてがパク・ヘイルさんの独特の魅力にぴったりだった。
そして、登場人物たちは、それぞれの想いを抱えて、それでも前を向いて歩いていく。
帰ることが出来る場所があるっていうのは、いいものだと信じて。

二度目を観た夫によると、この映画の登場人物は色んな意味で死んでいるのではないかとのこと。
なんだか無気力なチェ・ヒョン(パク・ヘイル)や、写真に写りたがらないコン・ユニ(シン・ミナ)。
先輩の奥さんも「チェ教授なら分かるでしょう。夫は自ら死ぬことを選んだんです。精神的には死んでいたのです。」とか言うシーンがあって、それが伏線になっているのでは・・・と深読み?
ううむ。確かに、白と黒の対比も何だかだし。
これは再度確認する必要がありますな。

チャン・リュル監督、パク・ヘイルさん、プロデューサー キム・ドンヒョンさんのサイン。
パク・ヘイルさんは、爽やかで、すらっとしていて、素敵でした。特に声が素敵だった。

Q&A記事
ディレクター懇談
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絵の中の池(イラン) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2014 –

「絵の中の池 / The Painting Pool」

★★★★★

邦題 絵の中の池
英題 The Painting Pool
製作国 イラン
製作年 2013年
監督 マズィヤール・ミーリー
上映時間 96分

<あらすじ>

小さな家族の大きな愛にあふれた物語

軽度の知的障がいをかかえる両親マルヤムとレザに大切に育てられたソヘイル。
裕福ではないけれど笑顔の絶えない温かな家庭で幸せな毎日を送っていた。しかしソヘイルは小学校の高学年になり、自分の家庭が他とは違うことを知りはずかしさを感じるようになる。
息子の変化についていけないマルヤムはおろおろするばかり。
両親の深い愛情をソヘイルはどう受け止めるのか。

「絵の中の池 / The Painting Pool」

7/29(火)の記者発表会で、一足先にこの映画を見てきたので、少し感想を。
映画祭期間中にもう一度見て追記したいと思います。

>>> 以下、多少ネタバレあり <<<
———-
愛は障害(障がい)を乗り越えて、それを克服することが出来るのか。
すべては挑戦。

軽度の知的障害をかかえながら、息子ソヘイルを育てるマルヤムとレザ。
それは二人にとって挑戦だ。
通りを横断するのも、ピザを作るのも、息子の宿題を手伝うのも。

しかし、ソヘイルは、小学校の高学年になり、自分の家庭が他とは違うことを恥ずかしいと感じるようになる。
ほかの家の子になれたらどんなにいいだろう。
教頭先生の家に転がり込むソヘイル。
憧れの家庭だったが、ここにも様々な悩みや苦しみがある事が分かってくる。

障害の有無は関係なく、家族(夫婦)にとって大切なものに気付いたとき、
マルヤムは屋上にも登れるようになり、進まないバイクは走り出し、笑い声に包まれるラストに涙。

特にお母さん。とてもチャーミング。
家族を思う純粋な気持ちがすごく伝わってくる。
難しい題材なのに、暗い気持ちにはならない、考えさせられるけど、ライトに観られる映画だ。

ソヘイルとはまったく状況が違うけど、
私は5姉妹の長女で、小学校高学年、中学校の頃は「5人姉妹」というのがすごく恥ずかしかったので、
この多感な年頃の気持ち・・・なんとなく分かる。
大人になった今では、5人姉妹も、大家族も自慢だけど。

ソヘイルは10歳で自分の家族にしかない良さ、唯一無二のものに気付いたんだから、素直にすごい。

<上映スケジュールは こちら

オープニング – アジアフォーカス福岡国際映画祭2014 –

今年で24回目のアジアフォーカス・福岡国際映画祭2014、いよいよ開幕!

9月12日(金)、オープニングセレモニーが開催されました。
この映画祭で上映される映画の監督や俳優など、ゲストが続々と福岡に。

わくわく、ドキドキ感と共に
ボランティアスタッフとしても気合いが入ります。

スタッフは、超絶カッコいいTシャツを着ています。
福岡らしく「ラーメン」フィルムTシャツ!
ご不明な点などあれば、スタッフまで~。

19:00から始まったオープニングセレモニー。
拍手の中、レッドカーペットを歩く映画人の皆様。

素敵すぎて目頭が熱くなりました…
感情失禁しがちな今日この頃です。



福岡市長
「素晴らしい映画を上映できるのは市民にとって大きな喜び」

おすぎさん
「アジア映画は身近に感じることが出来ながら、違いを楽しむことが出来る」

梁木ディレクター
「映画を”観る”ことは、人間を”見る”こと。見ることを大切にして。映画も楽しんで。」

と、挨拶がありました。
さぁ始まります、アジア映画の不思議な魅力に取り憑かれる10日間。
今年は何作観られるかな~。

上映作品紹介はこちら!

アジアフォーカス・福岡国際映画祭2014

今年で24回を迎えるアジアフォーカス・福岡国際映画祭
毎年楽しみにしておられる方も多いと思いますが、私もその中の一人。
しかも今年はボランティアにも参加します!!!

メイン会場は「キャナルシティ博多」の「ユナイテッド・シネマキャナルシティ13」。
また「福岡市総合図書館映像ホール・シネラ」も会場になっています。

会期は2014年9月12日(金)がオープニング、
9月21日(日)までの10日間の開催です。

公式招待作品は15作品。
その他にも、日本映画特集台湾映画特集もあります。
詳細は公式サイトよりご確認を!

福岡国際映画祭は、アジアの「今」を感じることが出来るステキな映画祭です。
監督・俳優などのゲストとのディスカッションもあって、映画がとても身近なものに感じられます。
福岡にこんな映画祭があって本当に嬉しい!

チケットは、前売り券がお得!-> チケット情報

  前売券 当日券
1作品券 1,100円 1,300円
1作品学割券
(中高大生・留学生)
500円
5作品券 4,400円 5,500円
フリーパス 11,000円 13,000円

ちなみに、特別招待イベントもあるので、応募してみてください。
全部おすすめですが…

D:福岡観客賞授賞式 &「狂舞派」特別上映会。
去年上映された作品。私ももう一度見たい作品です。
レビューはこちら -> cool Hong-Kong !!! 狂舞派

C:台湾映画大特集 「KANO~1931 海の向こうの甲子園~」特別試写会
永瀬正敏主演の台湾映画。
こちらも見たいです!

福岡国際映画祭の作品、今年は全部制覇できるといいな~。
ボランティアもしっかりやりますが、映画もしっかり見てレビューできるといいなと思ってます。

旅人は夢を奏でる – ROAD NORTH –

★★★★★

基本データ:
監督 / ミカ・カウリスマキ
キャスト / ヴェサ=マッティ・ロイリ(レオ:父親)、サムリ・エデルマン(ティモ:息子)

あらすじ
ティモ(サムリ・エーデルマン)はピアニストとして名声を得たものの、私生活では妻と子どもにそっぽを向かれていた。そんなある日、ティモの前に怪しい男が現われる。それは、3歳の頃から音信普通の父親レオ(ヴェサ=マッティ・ロイリ)だった。世界中を旅してきたという自称・元ミュージシャンのレオは、家族や親戚に会いに行こうとティモを連れ出し北へと向かうが、レオは秘密を抱えていて・・・。

「旅人は夢を奏でる -ROAD NORTH-」

ミカ・カウリスマキ監督10年ぶりの新作「旅人は夢を奏でる」。
放蕩親父と堅物息子のフィンランド珍道中。

真面目に生きていても、報われないこともあるのが人生。
たとえ、サイフを盗まれても、笑うことが出来たら良い人生なのかも。
必ず分かってくれる人はいる。

妙なテンポに不思議な面白さがあって、35年の空白を埋める数日間の旅は濃縮度120%!
悲しくて、絶望的で、ブラックユーモアたっぷり。だけど、笑えて心温まる。
お父さんの美声に夢見心地になるの間違いなし。

ヴァンター空港にヘルシンキの街並み、田舎の風景、
フィンランドの人たち、そして大好きなフィンランド語の響き。
どれもこれも懐かしくて、フィンランドの少し陰のある雰囲気が◎。

兄のアキ・カウリスマキ監督よりも
少しライトな映画を撮っている印象のミカ・カウリスマキ監督の作品。
おすすめです。

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ホビット 竜に奪われた王国

★★★★★

基本データ:
監督 / ピーター・ジャクソン
キャスト / イアン・マッケラン(灰色のガンダルフ)、マーティン・フリーマン(ビルボ・バギンズ)、リチャード・アーミテージ(トーリン・オーケンシールド)、ベネディクト・カンバーバッチ(スマウグ)、エバンジェリン・リリー(タウリエル)他

あらすじ
ホビット族の青年ビルボ・バギンズ(マーティン・フリーマン)は、魔法使いのガンダルフ(イアン・マッケラン)や屈強なドワーフの一行と共に、たった一頭で一国を滅亡に導くと伝えられる邪悪な竜スマウグに奪われたドワーフの王国を奪取すべく旅に出る。竜の潜む山を目指す道中、巨大なクモの大群や凶暴なオークたちが一行の行く手を阻むように次々と立ちはだかり・・・。

「ホビット 竜に奪われた王国」

三部作の第二部、ということで、第一部をおさらいしてから観に行ってきた。
ホビットの何が面白いかというと「ロード・オブ・ザ・リング」に繋がっているところ。
だから、ホビットの一部以外にも「ロード・オブ・ザ・リング」をおさらいすると「ホビット三部作」がよりいっそう楽しめること間違いなし。

前作に比べて、今回はほっこりできるシーンはほぼ無い。
逃亡に次ぐ逃亡。戦いに次ぐ戦い。圧迫に次ぐ圧迫。
捕まったり逃げたり流れたり隠れたり…もう大変です!

そして甘酸っぱい恋の予感あり。
イケメン枠ではドワーフのキーリ、エルフのレゴラス、人間で弓の達人バルドが大活躍。
トーリン・オーケンシールドは相変わらずビルボを全く信用していない・・・しっかりしてぇ!

とまぁ、ここまで自分たちの世界の事しか頭にない者同士なんですが、
自分たちの住む世界を救うために立ちあがる成長の物語が「ホビットの冒険」であり「指輪物語」なのだ。
王国を取り戻すためのドワーフたちの戦いから、今回は確実に「ロード・オブ・ザ・リング」に繋がっていく。

川下りのシーン、蜘蛛のシーンなんか、
いや、そこから落ちたらもう圧迫骨折しちゃうでしょ!?というくらいのレベル。
彼らは鍛えてるからな・・・圧迫しなかったかもね・・・。

圧迫骨折から回復した3月に見た「ホビット 竜に奪われた王国」。
マーティン・フリーマンと、ベネディクト・カンバーバッチの共演も嬉しい本作。
上映時間161分があっという間!

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愛しのゴースト Pee Mak -พี่มาก..พระโขนง-(タイ) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2013 –

アジアフォーカス福岡国際映画祭2013、10本目は

「愛しのゴースト Pee Mak -พี่มาก..พระโขนง-」

★★★★★

基本データ:
監督 / バンジョン・ピサンタナクーン (Banjong Pisanthanakun)
キャスト / マリオ・マウラー(MARIO MAURER)、マイ・ダーウィカー(MAI-DAVIKA HOORNE)、ナタポン・チャートポン(NATTAPONG CHARTPONG)、ポンサコーン・ジョンウィラート(Pongsatorn Jongwilas)
あらすじ
—————————–
身重の妻を残し、戦争に召集された夫。死線を乗り越え、愛する妻のもとに帰り、遂に我が子を抱きあげる。しかし、村人が言うには妻子はすでに死んでいる…!?
タイで歴代最高興行収入を記録したメガヒット・ホラー・コメディ。恐怖と笑い、だけじゃない!異色の愛の物語。

「Pee Mak -พี่มาก..พระโขนง-」

>>> 以下、多少ネタバレあり <<<

死が二人を分かつまで-。
それってホント?愛だろ、愛っ!

タイでは誰でも知っている有名な怪談「メーナーク・プラカノーン」の2013年版ということで、タイでのタイトルは「ピーマーク・プラカノーン」だそう。今回のリメイクでは、妻のメーナークの夫、ピーマークとその戦友たち4人を軸にストーリーが展開していく。

マークは徴兵され、身重の妻のナークを残して戦場に。負傷したマークは、激戦をくぐり抜け、戦友たちとプラカノーンの自宅に戻って来る。マークとナークは喜びの再会を果たし、マークは戦友たちをしばらくの間離れに泊めることにした。

しかし、マークらが村へ行くと、どうも村人たちの様子がおかしい。皆が妻のナークは幽霊だと言う。
戦友たちは、友達のマークを助けるべく色々と策を練るのだが・・・。

マークとナーク、戦友たちが繰り広げるドタバタホラー・コメディ。
途中まではどっちが幽霊なのかよく分からないし、そういう自分も実は幽霊だったりするの?・・・なんて思えてくる幻惑感(笑)。

冒頭の戦闘シーンはかなり迫力があって見ごたえがあるのに、笑えてしまうのは、良い演出、編集があったからだろうと思う。撮影もクオリティが高いのだ(タイ映画のクオリティの高さは「レッド・イーグル」でも感じた)。

冒頭で戦友の一人が、「この戦争を乗り切るために!」と一生懸命仲間に話しているシーンがあるのだが、タイの言葉や習慣、言い伝え、歴史など、外国語に訳すことが出来ないようなことを話しているので、翻訳の際に、誰にでも分かるように表現を変えているのだそう。例えば、タイの人なら誰でも知っている英雄の話をしているとしても、字幕では「ラストサムライ」とか「スリーハンドレット」とかにしているので、外国で配給されてもみんな楽しめるようになっている。
本当にこの冒頭では、編集の妙・翻訳の妙とでも言えばいいのか、戦闘のシーンなのに笑ってしまう。

そして最後は、ほろりと泣かせてくれる。
マークとナーク(名前が似てる・・・)の強い愛の物語。
死は、マークとナークの愛を引き裂くことが出来るのか。
日本公開があるとのことなので、それは観てからのお楽しみ。

マーク役のマリオ・マウラーは、ちょっとヘナチョコだけど愛妻家で純粋さが出ていて可愛らしいが、愛を信じる強さがにじみ出ていた。
ナーク役のマイ・ダーウィカーは、綺麗すぎてある意味怖いくらいだけど、その中に少女らしい可愛らしさを持ち合わせていたように思った。
特に良かったのは、マークの戦友たちを演じた助演の4人。抜群におかしい!4人が4人とも必死でマークを助けようとしているのに、まったく噛み合わない。見事に笑いを取っていて、でも友達って良いな、こんな友達いたら楽しいな、と思わせてくれる。

エンド・ロール中に後日談が流れるのだが、それも傑作だ。
後日談の戦友4人のサイドストーリーなんてどうだろう。だめ?

福岡国際映画祭、最終日に見たこの「Pee Mak -พี่มาก..พระโขนง-」。
バンジョン・ピサンタナクーン監督のQ&Aがあったのだけど、監督が「本当に最後の最後だから後悔しないように質問をどうぞ」とのことで、幼稚な質問だけどさせてもらった。

妻ナークの手料理をみんなで食べるシーン。
マーク、戦友たちは「これは”旨味”が出てる。美味しい」と口々に言う。
本当に日本語で「うまみ」と言っているのだ。タイ語でも「旨味=うまみ」なのですか?と質問!

実は「旨味=うまみ」タイの味の素CMでの宣伝文句だそう。
タイの観客「あの時代に味の素なんてあるわけないだろ!」と大爆笑。
バンジョン・ピサンタナクーン監督いわく「Pee Mak -พี่มาก..พระโขนง-」には、時代背景とはそぐわない言葉がいくつもあるけれど、それが現代の人に分かりやすく伝わっている、とのこと。

他にも、お歯黒にしているので歯磨き粉のCMに出演することになった裏話とかあって、大変面白かった。
味の素のCMにも起用されるといいね(笑)!

予告編からもホラー映画な要素はたっぷり出ているのだが、コメディであり、ロマンスであり、そう、愛のホラーであり、一口で3度美味しい映画!
またまたタイ映画に恋してしまった。日本公開が待ち遠しい(*^^*)

バンジョン・ピサンタナクーン監督のサイン

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dtvで「愛しのゴースト」レンタルしました

吹替版が良かった…ホント。
タイ語で観てたから、なおさら良かったのかも。

声優さんたち、雰囲気すごくつかんでた!
小野大輔さん、神谷浩史さん、櫻井孝宏さん、福山潤さん。

マーク、へなちょこ過ぎなのにめちゃカッコいいのがもうツボ。
小野D のキャラと被る…マーク似合いすぎw

バンジョン・ピサンタナクーン監督もニッコリですね、こりゃ。
吹替版いいなぁって思ったの初めてかもしれません。