サカナクション TOUR SAKANAQUARIUM2015-2016 @ 福岡サンパレス

2015年11月13日(金)。
サカナクション TOUR SAKANAQUARIUM2015-2016 @ 福岡サンパレスホール
1年半ぶりの全国ツアー、福岡初日に参戦!!

サカナクションはライブが最高だ!ということを思い知らされた。
サウンドはもちろん、照明などの演出構成、すべてにおいて意欲的なアクト。
駆け抜けるようなライブにMCはない。
アンコールまでぶっ通し。

これは、色んな演出、仕掛けのため仕方のないことらしい。
たとえ、途中で間違えようとも走り続ける。
これがサカナクションのライブ!

みんな踊れ~!」の掛け声。
縦ノリで腕を突き上げ、ジャンプするようなものが多いので踊りやすいし、
ゴーゴーな感じのダンスもイケる。

舞子さん(「夜の踊り子」)は登場して、
スクールメイト(「新宝島」)は登場しないあたり、
サカナクションらしい気がするし、
とにかく最初から最後まで光の演出が素晴らしかった。

アンコールでは今後の展望について、いろいろとお喋り。
サカナクションはセルフレーベル「NF Recordsを立ち上げたらしい。
なんか、ソレすごい似合ってるね、と妙に納得。

そういえば「壁」からの「years」でモッチさんが間違えたらしくて、
やり直したいとのことで、間違えた部分だけやり直す
その間違いをモッチさんがずっと演奏で引きずってたらしくて
山口くん、どうやら納得いってないっぽいのが面白かった。

メンバーみんなが納得いったところで、
モッチさんも「今日の間違いは消化(昇華)された」らしい(笑)
良かったね。

覚えてる範囲でのセットリスト。

サカナクション~SAKANAQUARIUM2015-2016~
2015.11.13 セットリスト


1.ナイトフィッシングイズグッド (Iw_Remix)
2.アルクアラウンド
3.セントレイ
4.Klee
5.Aoi
6.蓮の花
7.壁
8.years
9.ネプトゥーヌス
10.さよならはエモーション
11.ネイティブダンサー
12.ホーリーダンス
13.夜の踊り子
14.SAKANATRIBE
15.アイデンティティ
16.ルーキー
17.新宝島


アンコール


18.グッドバイ (NEXT WORLD REMIX)
19.ミュージック
(+α.壁 +β.years)
20.モノクロトウキョー
21.白波トップウォーター


見送り曲:さよならはエモーション

チケット代が6500円と良心的なお値段ながら、
サカナクションこだわりの最強演出で贈る最強ライブなだけあって赤字らしい(笑)。
素直に「グッズ買ってね」っていう山口くん最高ですー。
そんなわけで、今宵もグッズを(今回は多めに)ゲット。

エンターテインメントとしてのロックの可能性を追及し続けるサカナクション。
必ずみんなに、音楽で恩返しをします」という力強い言葉に、
次のライブも行こうと心に決めたのであった。

13日の金曜日。
ホール公演仕様サンパレス仕様の特別演出
再編成された福岡初日のサカナクションのライブ
ジェイソンも復讐を忘れて踊り出すほどの最高の2時間半!!
サカナクション TOUR SAKANAQUARIUM2015-2016 は、2016年3月5日まで続く!!

バクマン。/BAKUMAN

「バクマン。/BAKUMAN」

★★★★☆

邦題 バクマン。
製作国 日本
製作年 2015年
劇場公開日 2015年10月3日
脚本・監督 大根仁
出演 佐藤健/神木隆之介/
小松菜奈/桐谷健太/新井浩文/
皆川猿時/宮藤官九郎/山田孝之/
リリー・フランキー/染谷将太
上映時間 120分
公式サイト http://bakuman-movie.com/

<あらすじ>

友情!! 努力!!! 勝利!!!!

優れた画力を持ちながら将来の展望もなく毎日を過ごしていた高校生の真城最高(佐藤健)は、漫画原作家を志す高木秋人(神木隆之介)から一緒に漫画家になろうと誘われる。
当初は拒否していたものの声優志望のクラスメート亜豆美保への恋心をきっかけに、最高はプロの漫画家になることを決意。
コンビを組んだ最高と秋人は週刊少年ジャンプ連載を目標に日々奮闘するが……。

「バクマン。/BAKUMAN」

私は漫画が大好きだ。
「りぼん」や「なかよし」よりも「ジャンプ」が好きだった。

学校帰り、毎週火曜の発売日。
近所の駄菓子屋で「ジャンプ」を買い、一目散で帰って読んでいたものだ。
懐かしい。

成人して久しいので、原作漫画「バクマン。」は読んでないんだけど、
この映画「バクマン。」はスポ根映画だ。

文字通り「友情」で「努力」して「勝利」する構図で展開されるストーリーはちょっとむずがゆい気もするけど、それこそが「漫画」なのだ!
ただ真っ直ぐに、サイコーとシュートが夢に向かって真っ向勝負していく。

青春っていいなぁ~とか
ジャンプ編集部ってこんな感じだろうなぁ~とか
まぁ簡単な感想はいろいろあるんだけど、
とにかく、スポ根なのにオシャレなのだ。

サカナクションの音楽、キラキラした空気の画、プロジェクションマッピング、漫画家の脳内での戦いをイメージ映像にしたアクションバトル。
紅一点の小豆のシーンには常に柔らかさがあった。

生々しいペン先の音、鬼気迫る形相で絵を描くシーン、おじさんとのやり取り。
スピード感も爽快感もあって、観ていて飽きない。

そして、大根監督は「スラムダンク」が大好きなのか?と思うくらいのオマージュ。
ハイタッチのシーンから“燃え尽きてあっさり負ける”ラストまで。

絵や漫画を描いている人からしたら、突っ込みどころもあると思うけど、
何かが好きであるということ、情熱そのものの尊さみたいなものが感じられた。

そして感動したのは、冒頭で紹介されるジャンプの歴史や歴代ジャンプ漫画の背表紙が連続して映し出されるシーン。
日本が誇る「漫画」という文化、歴史、そしてそれを作ってきたジャンプや漫画家達に対して感謝、尊敬の念でいっぱいになる。

この映画「バクマン。」は海外のマンガファンにウケるんじゃない?
日本が誇るサブカルチャーをこれほど描き出した映画はそうないんじゃないかと思った。

主演の二人はもちろんだけど、特に山田孝之が演じる編集者が秀逸。
Tシャツにも注目。

そしてエンドロール。
気付いたときの高揚感、ハンパないです!

唯一漫画だけがつまらない日常を忘れさせてくれる大事なアイテムだったあの頃。
ポップカルチャーの黄金期を体験してきた、
何よりも「ジャンプ」を愛読していたかつての少年少女だった大人の皆様、ぜひ。

[amazonjs asin=”B013D9TCOE” locale=”JP” title=”新宝島 豪華初回限定盤(映画「バクマン。」BOX)”]

福岡国際映画祭2015総括

アジアフォーカス・福岡国際映画祭2015
(福岡アジアフィルムフェスティバル2015、台湾映画祭2015を含む)の
鑑賞映画のレビュー全てをやっと書き終えた。

今年の鑑賞本数は23本。
公式招待作品の「ミンヨン倍音の法則」だけ観られなかったのが残念。

5点満点
4点
3点
その他

2015年の福岡国際映画祭は
より普遍的な「生きる」こと、そのものを問う作品が多かったように思う。

また、実在の事件や人物をモチーフにした作品も多かった。
実在人物を描いた作品(「ダークホース」「Little Big Master」)は、
他人の幸せの中に、自分の幸せを見つけ出す主人公が揃っていることが印象的だった。
そういう人に出会えた人たちは本当に幸せだと思う。

余談だが、高齢の女性が登場する作品(「未熟なざくろ」「望郷のうた」「赤い季節の忘却」など)を見ていると、どうも他人事じゃないなぁという気分になった。
自分自身に降りかかったときに、映画の主人公のようになれるかどうか…難しい問題である。

コメディーは、心から楽しめる作品が多かった。
コードネームは孫中山(台湾)」、「超人X.(ベトナム)」。
最高だった。

8日間で23本。
ちょっとキツかったけど、この時期にしか観られない映画がたくさんなので。
来年も期待。

いつか、また(中国)– 福岡アジアフィルムフェスティバル2015 –

「いつか、また / The Continent」

★★★★★

邦題 いつか、また
英題 The Continent
製作国 中国
製作年 2014年
監督 ハン・ハン
上映時間 104分

<あらすじ>

男三人の中国大陸横断の旅を描く青春ロードムービー

中国の東の果てにある島で生活している3人の若者が、広大な中国大陸を横断しようと決意。旅の過程で、幼なじみの女性、文通相手、コールガール、バイカーなどとの出会いと別れを経て、さまざまな経験をした彼らは、ついに大陸を横断することに成功し、あるものを目にする。

「いつか、また / The Continent」

「初日で兄貴達と別れて、3年待ってる」

中国の東の果てのある小さな島で生まれ育った3人組。
そのうち1人が西の果ての小学校に転勤することになり、残りの2人が車で赴任先まで送っていくことに。

この3人のストーリーかと思っていたら、3人のうち1人は早々にまさかの離脱(笑)。
そう、これこそが冒頭の「初日で兄貴達と別れて、3年待ってる」の一人。

後に、ライダーが加わり、旅はまた3人になるんだけど、
彼もまた想定外の離脱で消えるので、この物語の主人公は、ジャン・ホーとハオ・ハンのふたり。

ハオ・ハンは、豪快で楽天的、でも実は内面がもろい男。
小学校教諭ジャン・ホーは、一見情けなく見えて、芯の強い男。
旅が進むにつれて、ハオ・ハンとジャン・ホーの立場が逆転してくるところも絶妙なのだ。

ロードムービーにありがちな友情物語、成長物語ではない感じが新鮮、
どこか突き放してる感じが心地いい。
原題は「後會無期」で、意味的には「もうきっと会わないでしょう」といったニュアンスということだから、その後のことは自分で考えといてという感じか。
いろいろ疑問に思う部分があるのに、
その辺はまったく回収されないところも「後會無期」ということかもしれない。

大事な車を乗り逃げされたハオ・ハンに
ジャン・ホーが言った言葉「あいつの話にだって真実はある」。
この映画にだって真実が散りばめられてる(笑)。

音楽で小林武史も参加している本作、
台湾、中国の有名俳優満載らしく、中国でハリウッド作品を抑えて堂々の1位を獲得したらしい。

とにかく、全編を通して笑える、俳句の世界みたいなロードムービー最高。
もう一度観たい秀作なのだった。

ダークホース(ニュージーランド) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2015 –

「ダークホース / The Dark Horse」

★★★★★

邦題 ダークホース
英題 The Dark Horse
製作国 ニュージーランド
製作年 2014年
監督 ジェームス・ネイピア・ロバートソン
上映時間 124分

<あらすじ-公式サイトより->

勇敢に立ち向かう気持ちが伝染する

実在したマオリ族のチェス・プレイヤー、ジェネシス・ポティーニを主人公に描く情熱的なドラマ。ジェネシスは地方のチェス・チャンピオンだったが、精神を患い入院していた。退院後、ギャングがたむろする兄弟の家で生活するが、そんな荒れた日々から何とか脱出したいと模索していた彼は、地域の子どもたちにチェスを教えるクラブを開設する。そして、わずか6週間後に開催される全国大会に彼らを出場させると公言した…。

「ダークホース / The Dark Horse」

マオリ族の精神疾患を抱えるチェスの天才が、自らはホームレスになっても貧困家庭の子供たちにチェス教え、希望や夢を与えていく。
弱小チェスクラブを勝利に導くという王道ストーリーに、主人公ジェネシスと兄+息子マナの葛藤を描いていて、個人的には文句なしの観客賞!

マオリ族は誇り高き先住民族だが、現代社会の中では多くの問題を抱えてるらしい。
実際、ギャングも多いらしく、この映画でのギャングの描き方で脅迫を受けたと笑って答えるプロデューサーのトムさん(笑い事じゃないよw)。

ただ、映画で描きたかったのは、そうした難しい問題があったとしても、それを乗り越えていくヒーローの姿だったとのことで、ギャングの脅迫を受けてもこの映画を作り上げた「ダークホース」チームと、実在の人物たちへ心からの拍手を送りたい。

マオリ族の神話などは、知らないことばかりで新鮮だったし、最初のシーンでジェネシスが雨の中、手を広げているシーンは美しすぎてそれだけで感動した。
映像はとても洗練されていてハリウッド的、今年のロッテルダム国際映画祭では観客投票でぶっちぎりの第1位を獲得というのも納得。
再上映求む!

さて、ジェネシスが持っているマオリのチェス。
駒ひとつひとつがとてもカッコよかった。
あの駒はジェネシスのものなのか聞いたら、映画用に作ったとのことで、世界に1つしかないそう。
今はトムさんがこっそり!持ち帰って飾っているらしく(笑)、その中のひとつを頂戴って言ったら、いいよ!って…
軽いよ、軽すぎるよ~!

ノリが抜群によくて、熱いハートを持ったトムさんの笑顔、どうぞー。

その夏に抱かれて(台湾) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2015 –

「その夏に抱かれて / (Sex) Appeale」

★★★☆☆

邦題 その夏に抱かれて
英題 (Sex) Appeal
製作国 台湾
製作年 2014年
監督 ワン・ウェイミン
上映時間 107分

<あらすじ-公式サイトより->

実話を元に学内セクハラ事件を描く

バイは音楽家への夢を実現するため、母親の束縛から逃れるように台東の大学に入学する。そこで出会ったムホンは彼女に想いを寄せるが、都会育ちの彼女を前になかなか告白できない。しかし彼女は指導教官であるリーから関係を迫られるのだった…。台湾を代表する俳優で監督も手がけるレオン・ダイがリーを演じ、金馬奨助演男優賞にノミネート。またビビアン・スーが大人の魅力満載で敏腕弁護士をクールに演じる。

「その夏に抱かれて / (Sex) Appeal」

女子大生が教授に犯される。
担任教諭と弁護士に後押しされ、彼女は教授を訴える。

事件に絡む人間が、教授以外はみんな女性。
絡み合う女性の利害、それぞれが抱える心の闇。

法廷劇かと思って観てたけど、現実に向き合う厳しさや強さ、
立場の弱い者が声をあげることの難しさや勇気、そういったことを考えさせられた。

台湾映画、ハッピーな映画ばかり観てたので、やや異色作だと感じた。
邦題はもっとどうにかならなかったのかなぁ…分かりにくい!

台東の夏の風景はとても美しく映像も綺麗。
弁護士役のビビアン・スーは、愛らしさの中に強さを兼ね備えた女性になっていてとても素敵だったし、主演のアンバー・クォの「台北の朝、僕は恋をする」のスージー役とは180度違う役どころ、素晴らしい演技にも見応えあり。

野良犬たち(韓国)– 福岡アジアフィルムフェスティバル2015 –

「野良犬たち / STRAY DOGS/WILD DOGS/THE CARNIVORES」

★★★☆☆

邦題 野良犬たち
英題 STRAY DOGS/WILD DOGS/THE CARNIVORES
製作国 韓国
製作年 2014年
監督 ハ・ウォンジュン
上映時間 99分

<あらすじ>

実際の事件を元に描いた衝撃作

不倫と賭博にのめり込む自堕落な日々を過ごしている記者のソ・ユジョン(キム・ジョンフン)は、不倫相手である職場の先輩ヒョンテの妻から関係解消を迫られる。夫とやり直したいと彼女から言われても納得できないユジョンは、力ずくでも奪ってやろうとヒョンテを追って彼が取材に向かっている山の奥深くにある村を訪ねる。だが、ヒョンテが見つからない上に乗ってきた車が故障し、村に滞在する羽目に。やがて、ユジョンはヒョンテなど知らないという村長をはじめ、村民たちに不審なものを感じ始める。

「野良犬たち / STRAY DOGS/WILD DOGS/THE CARNIVORES」

昔の日本でも似たようなことはあったのだろう、とは思うものの。
韓国で実際に<2012年に起きた事件>がモチーフという事実に驚愕。

プロローグ。
古ぼけたビニールハウスで殺される一人の男。
その現場を目撃しカメラに収めている一人の男。
振り下ろされるシャベル。

一体、何が起きたのか。
観客は、主人公とともにその真相に迫る事になる。

村の秘密と閉塞感がもうひたすらすごい。
閉ざされ限られた人数の村社会。

女を道具としか思っていない最下層の野良犬たち。
徐々に明らかになる真相。

主人公が、運動ができるわけでも、正義感に溢れているわけでもない、
むしろ俗な人間なので、逆にハラハラさせられた。

結末は実に韓国的。
日本映画なら違う結末にしてたかもしれない。

それにしても。
ジョンフンさん良い俳優になったなぁ。

イロイロ ぬくもりの記憶(シンガポール) – 福岡アジアフィルムフェスティバル2015 –

「イロイロ ぬくもりの記憶 / Ilo Ilo」

★★★★☆

邦題 イロイロ ぬくもりの記憶
原題 Ilo Ilo
製作国 シンガポール
製作年 2013年
監督 アンソニー・チェン
上映時間 99分

<あらすじ>

人生にはあなたを救ってくれる出会いがある

1997年シンガポール、共に働きに出ている両親と暮らす一人っ子のジャールー(コー・ジア・ルー)は問題児で、母親の悩みの種だった。そんな折、住み込みで雇われたフィリピン人メイドのテレサに反発するジャールーだったが、真剣に自分と向き合おうとする彼女と次第に心を通わせていく。一方、父親はアジア通貨危機の影響でリストラされ、母親はテレサに対して嫉妬のような感情を持ち始め……。

「イロイロ ぬくもりの記憶 / Ilo Ilo」

97年のシンガポール。
淡い色調で淡々と描かれる、シンガポールの中華系一家と出稼ぎのフィリピン人家政婦の交流。

わがまま放題の子供、このクソガキめ!と観ていたんだけど、
フィリピン人の出稼ぎメイドとの交流で、この家族の心情が浮き彫りになってくる。

居心地の悪い家、
思いやりのない家族、
その中で唯一「安らぎの場」となったのが、フィリピン人家政婦のテレサとなっていく。

父親はあれこれしくじり、妊娠し心が弱った母親は拠り所を求め自己啓発にのめりこんでいく。
結局、お金に余裕がなくなりテレサを解雇することに。

憎らしいクソガキに思えた少年ジャールーが、
初めて誰かを想い、起こす行動と、最後に見せる反抗は、
10才のクソガキが兄になるまでの素晴らしい成長物語。

淡々と。
じんわりと。
心に沁みていくそんな良作でした。

愛の棘(韓国)– 福岡アジアフィルムフェスティバル2015 –

「愛の棘 / INNOCENT THING」

★★★★☆

邦題 愛の棘
英題 INNOCENT THING
製作国 韓国
製作年 2014年
監督 キム・テギュン
上映時間 118分

<あらすじ>

純愛か、狂気か…

体育教師ジュンギ(チャン・ヒョク)は、女子生徒のヨンウン(チョ・ボア)から好意を寄せられていることに気付く。ある雨の日、傘がなく濡れたヨンウンに自分の体育着を貸した際彼女の体に触れてしまったジュンギは、彼女との接触を極力避けるようになる。それ以来彼女のひたむきな恋心は暴走し、ジュンギの寝室に忍び込んだり、妊娠中の妻に近づくなど常軌を逸した行動を起こす。

「愛の棘 / INNOCENT THING」

「教師と生徒の禁断の恋」で終わるわけがないのが韓国映画。
”恋は盲目” ”若気の至り” なんて可愛いものじゃない。
韓国映画の描く愛は濃すぎて疲れる(笑)。

徐々に狂気化していく女子高生。
あどけない高校生が妖艶さをも醸し出す大人の女性へのスイッチが入った瞬間の表情もすごい。
高校教師とその妻をも巻き込んで、どんどんエスカレートする女子高生が怖くて憎らしくて凄まじい。

「私の事を弄んだの?私はおもちゃだったの?
あの時、ドキドキしたのは、愛だったんじゃないの?」

いい人そうに見える普通の人の方が酷いことする場合もあるし、
ストーカーみたいなちょっとイカれてるように見える人の方が純粋な人かもしれない。

棘は最後まで抜けない。
純愛映画だった。

幻想か現実か分からないような感じで進むストーリー。
映像で幻想と現実をうまく切り替えて魅せているところは秀逸。
さすが「火山高」のキム・テギュン監督。

なつやすみの巨匠(日本) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2015 –

「なつやすみの巨匠」

★★★☆☆

邦題 なつやすみの巨匠
製作国 日本
製作年 2015年
監督 中島良
上映時間 112分

少年のひと夏の恋

福岡の離島・能古島に住む10歳の少年シュン(野上天翔)は、夏休みに映画研究部員だった父・和由(博多華丸)から古いビデオカメラをもらう。すっかりカメラに夢中になり親友たちと映画撮影のまねに没頭するシュンの前に、島にやって来たワケありのハーフの美少女オリヴェイラ唯(村重マリア)が現れる。一目ぼれがバレないように、彼女を女優としてスカウトするシュンだったが……。

「なつやすみの巨匠」

オール福岡ロケの映画「なつやすみの巨匠」。
舞台は福岡市西区の能古島。
馴染みのある場所が次々と出てくる。

ひと夏の淡い恋物語ではあるけど、
子供たちの成長、いじめ、不法滞在、命の大切さなど、社会問題も盛り込んだ映画だった。

子供たちはみんなとても良かったし、
お父さん(華丸)もお母さん(国生さゆり)もチンピラのボス(リリー・フランキー)もみんな良かった。
海辺や木陰、夕日、神社から見る島など、映像はとても綺麗で、能古島の魅力再発見である。

主人公の少年シュンが恋するユイは、結局ブラジルに行くことになる。
ユイとこじれたまま別れ、フェリーを追いかけるシュン。
泳げないのに泳ごうとして溺れかけ、助けられた後のフェリーを見つめる表情はとっても切ない。

自分の好きなように生きろ。
人と違うことをしろ。
自分が立っとるところが世界の中心や。

その通りです。
子供のときにこういうこと言ってくれる親、素敵です。

個人的に思うところが2点ほど。
もう会うことができない…と思ってるシュンに対して、お母さん同士は携帯で簡単に繋がってて連絡取りあってたり…ちょっと残念かなぁ~。
事故で入院してた青年が2週間くらいで外出許可を得て、上映の準備を一緒に手伝ってるカットがあったんだけど、圧迫骨折をした私からすればあり得なかった。

地元発の自主製作映画ということで、全体的には良かったんだけど、あえて言わせていただくと、伏線の回収がしきれてない部分が結構あった気がした。
これは個人の判断に任せますってことだろうけど、もうちょっと回収してくれもいいかなぁ~と思ったり。

中島監督はこの映画製作中に福岡に魅了され移り住んだんだとか。
また福岡で(じゃなくてもいいけどw)素敵な映画、撮ってくださいね。

マタンゴ(日本) – アジアフォーカス福岡国際映画祭2015 –

「マタンゴ」

★★★☆☆

邦題 マタンゴ
製作国 日本
製作年 1963年
監督 本多猪四郎(本編)/ 円谷英二(特撮)
上映時間 89分

これは東京の病院に収容された青年の回想録である

ある日、豪華なヨットで海に繰り出した7人の若い男女が遭難し、無人島に漂着した。そこは、カビと不気味なキノコに覆われた孤島であった。唯一見つかった難破船には、少数の食料が残されていたものの生存者はおらず、「船員が日々消えていく」といった内容の日誌と「キノコを食べるな」という旨の警告が残っていた。始めは協力していたが、やがて心がバラバラになっていき、食料と女性を奪い合い対立する飢餓と不和の極限状態が訪れると共に、島の奥からは不気味な怪物が出没し始める。そして1人、また1人と禁断のキノコに手を出していく。

「マタンゴ」

マタンゴは怖いけど、人間も怖い

お坊ちゃんたちが、7人のグループでクルーズに出かけ、嵐で遭難し、島に漂着。
この島は、なぜかほとんど魚も取れない、鳥も寄り付かない。
気味の悪いキノコだけがたくさん生息している。

それぞれに思惑はあるものの、たいした考えも無いため、心はバラバラに。
食料も底がついてくることが分かると、次第にエゴを剥き出しにしてゆく7人。

禁断のキノコの甘い味。
このキノコを食べた者は、キノコ人間になってしまう。
ひとり、ふたり…そしてキノコを食べていないのは、村井と明子だけになる。

キノコ人間(マタンゴ)は、理性をどうにか保っている村井と明子のもとにやってくる。
怖いのが、殺しに来るのではなく、キノコを食べさせにくるところ。
自分がこんな状態になったから他人にもそうさせよう、と巻き添え作戦をするマタンゴたち・・・。
キノコの癖に思考がすごく人間的で怖い!

結局、明子は連れ去られてしまい、村井は助けに行くが時すでに遅し…。
明子は「おいしいわ、ほんとうよ」とマタンゴを村井に勧めるのだ!
村井はその場から逃げ出し、ヨットに乗って島からも脱出。
(え?ヨット??みたいな急展開w)

戻ってきた村井は病院に収容されていた。
キチガイ扱いされるなら戻ってこない方がよかった。
恋人と一緒にキノコを食べて幸せになった方がよかった。

振り返る村井。
キノコへの変身が始まっていたのだった。
(食べたのね…)

衝撃のラスト。
極限下において「生きる」ということの本質を訴えかけてくるこの「マタンゴ」。
東宝の変身人間シリーズ全4本(美女と液体人間(1958年) / 電送人間(1960年) / ガス人間第一号(1960年) / マタンゴ(1963年))のうち最後の作品。
出演している俳優さんたちがすごく良い味を出しているところも、観る価値ありの1本。

人生生放送!好きなことを好きな時に書いてます。